こんにちは、榊原です。今日は、映画の紹介です。12月10日より上映が開始された「ドント・ルック・アップ」についてご紹介します。
この映画、ネットフリックスで24日から配信で、現在は先行で上映されています。要するに、後10日ほど待てば家で無料で見られるので、観客もそんなに入っていないだろうと思いきや9割ほど埋まっていました。
見に行ったのは平日の17時50分の回、有楽町のヒューマントラストシネマです。初めて行きましたが、商業ビルの4階にあるこじんまりとした劇場でした。いかにも単館系な感じです。
目次
アダム・マッケイ作品について
僕が見たのは、「マネーショート」と「バイス」の2作です。どちらも軽快なコメディ的な部分もありますが、笑うしかない、いや、笑えない経済や政治のどうしようもなさに光を当てる作品でした。
過去作においてもブラッド・ピット、クリスチャン・ベールなどの超有名俳優を起用していましたが、今回もレオナルド・ディカプリオやメリル・ストリープといった超有名で実力のある俳優陣で固めています。
こんな大物役者をガンガン使える予算を用意できるのは、流石ネットフリックスと言ったところでしょうか。この映画、画面の作り方などが普通に上映されている映画と遜色がありません。時代が変わったなと感じました。
あらすじ
大学院生「ケイト・ディビアスキー」は、超新星を探して彗星を発見する。ケイトの指導官であり、天文学者である「ランダル・ミンディ」は、彗星の軌道を計算したところ、地球に衝突することが判明する。
衝突すれば、地球の破滅は免れない規模であることを確信した二人は、NASAの科学者「クレイトン・テディ・オグルソープ」と共に、アメリカ大統領に未曽有の危機を伝えに行くが……という感じです。
ストーリー
以前も経済危機を引き起こしたのに何の責任も取ら無いクズどもや戦争を金儲けの手段としてしかとらえていないクズどもを描いてきたアダム・マッケイですが、今回は地球規模でやってくれます。
事実を知らせ、証拠を示しているにも拘らず、真剣にケイトやランダルの話に耳を傾けようとする者はおらず、二人の愕然とした感じが悲しくもおかしい具合に仕上がっています。
何を言っても、You tubeやツイッターのネタにされ、世界の破滅よりもタレントの破局報道の方がみんな興味津々。どんなに空から彗星が降ってくると訴えても、目の前にある携帯端末にかじりつく姿は、現代の僕たちを思いきり皮肉っているのでしょう。
また、政治に対しても物凄く露悪的です。彼らが彗星の話を持って行っても、「次の中間選挙に影響があるから、とりあえず静観ね」と興味を持たず終わらせる。地球が終わってしまったら、そんなこと言ってられないはずなのに、権力と経済の方を重視するのは、政治というものの業なのでしょうか。
基本的に危機感を持っているのはランダルとケイト、クレイトンくらいでほかの人たちは浮かれていて陽気のため、映画全体に危機感や切迫感のようなものが乏しく、「あれ、大丈夫なの……?」と微妙な気分になります。
ですが、もちろん大丈夫というわけではなく、刻一刻と地球は滅亡に向かっています。誰であっても、向き合わなくてはならない時がやってきます。みんなに話を聞いてほしいランディの言葉が非常に胸に迫ります。
このシーン、ランダルがテレビに初めて出演した時の司会に言われた「ニュースは、悲しいことでも楽しく伝えなくちゃ」という言葉に対しての伏線回収なんですよね。最高です。このシーンをネットフリックスの配信で見るのが非常に楽しみです。
登場人物
安定剤を飲んで緊張に耐えているランドルやホワイトハウスのごみ箱にゲロを吐くケイト、「テディと呼んでくれ」と握手を求めるクレイトンなど、地球の危機を前にどこか抜けている面々に好感が持てます。
特にジャニー・オルレアン大統領は、全くこちらの話を真剣に聞いてくれないクソババアぶりを見事にやってくれます。誰かと思ったら、メリル・ストリープが演じているんですね。「プラダを着た悪魔」とか「サッチャー」と全然違う風貌になっていて最初分かりませんでした。
この人、最近は「強すぎる母親」か「魔女」の役ばっかりだった印象でしたけど、また新たに新境地を開いてくれた感じがします。
最後に
12月にして、今年ベスト級の傑作の登場です。年末にゆっくりと本作で笑うのも楽しいですし、一足先に劇場で笑いの空間に浸るのも楽しいです。是非是非、終わりに向かって進む世界をご覧ください。
それでは、また!