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モノに奪われた青年と、モノに育てられた少女の恋物語、開幕 マンガ「もののがたり」の紹介

 こんにちは、榊原です。今日はマンガの紹介です。オニグンソウさん著作の「もののがたり」について紹介します。

目次

 もののがたりとは?

 現在月刊ウルトラジャンプで連載しているマンガです。恋物語とか表題に掲げましたけど、恋愛描写自体はそこまでなく、どちらかというと家族関係の構築、憎んでいた存在との共存への葛藤、そして信念を貫き通すための戦いなどがメインです。

 テーマからすると結構重めなのですが、随所にギャグも交えて描かれているため、気分が陰鬱になることはないと思います。そもそも主人公が一本気な青年なので、ウジウジタイムがほぼないことが素晴らしいです。11月28日現在で13巻まで発売されていて、アニメ化が決定したようです。

 あらすじ

 

 常世から現れた付喪神が現世の人間に害を及ぼさないように調整する、塞眼「岐 兵馬(くなと ひょうま)」は、付喪神への対処を必要以上に苛烈に行うことから、岐家の当主である祖父に心配されていた。兵馬は、過去の出来事で付喪神に只ならない憎しみを抱いている。

 付喪神への理解を深めるため、付喪神と共同生活を送るという、「長月 ぼたん(ながつき ぼたん)」の家で寝食を共にするよう祖父から指示を受ける兵馬。

 訪れた長月家で出会ったのは、6人の付喪神「羽織(はおり)」、「匣(くしげ)」、「鏡(かがみ)」、「硯(すずり)」、「結(ゆう)、「薙(なぎ)」。兵馬はその内の一人、薙と一戦交える。ぼたんは、薙との衝突により負傷した兵馬に詫びを入れるも、付喪神を悪と断じる兵馬の言葉で態度は豹変。長月家から出て行くよう申し付ける。

 祖父に言われた以上、言われるがままに帰ることはできず、長月家に居候する条件として、付喪神たちへの了承を得ることをぼたんに提示する兵馬だが……という感じです。

 魅力について

 ①ストーリー

 基本的に友情、努力、勝利を基軸とした典型的なジャンプバトルマンガです。付喪神が有する個別能力や兵馬たち塞眼が有する個別能力で戦略性はありますが、勝敗は力技で決まります(笑)。

 主人公の兵馬をはじめ、メインとなる長月家の人間(?)はどれも気持ちのいい気質を持っている者たちばかりなので、見ていて不快になることはまずないと思います。また、前述しましたが、兵馬自身が非常に真面目で一本気なので、暗い思いに囚われそうになっても、割とあっさりと乗り越えるので読み手にストレスがかかりません。

 兵馬の過去、ぼたんが付喪神と暮らす理由は、早々に明かされ、彼らが知らなかった真実は物語の進行とともに明かされていくというスタイルになっています。そのため、主人公たちと読み手の情報に齟齬がないため、感情移入が非常にしやすいです。

 次々と別個の事件が起きているように見えながら、中心にあるのはぼたんの出生にまつわる事という、一本の事件に繋がっているという構成が巧いです。連載漫画は、書きながら話を考えるため、結構設定や物語進行にぶれが生じることがほとんどなので、それを感じさせないのは本当にすごいと思います。

 ②キャラクター

 岐 兵馬

 塞眼御三家の一つ、岐の次期当主。復讐のために戦う、という設定から内面的葛藤が多いのかと思いきや、からっとした熱血漢。

 陰陽師を思わせる塞眼という役割から、RPGでいうところの魔法使い的な役割と思いきや、基本は殴る蹴るの体術。塞眼としての能力も、武器を中心としたものがほとんどという、完全なる前衛。物事の解決は、話し合いよりも拳での語り合いを得意とするのはジャンプ漫画主人公故でしょうか。

 見ていて楽しく、物語を推し進める役割を担っている、主人公として◎の漢です。

 長月 ぼたん

 兵馬が物語を推し進めるのが役割なら、ぼたんは物語の核となる人物です。ある事情により、人と深くかかわることができず、付喪神とのみ関係を構築してきたぼたんが、兵馬の来訪により変化していくことが、物語の軸の一つです。

 意外なことに、常日頃は明るく振る舞っているぼたんこそが「陰」であり、結構この部分が長いです。肉体面は常人であり、精神面から主人公たちをサポートします。最近の漫画で、ここまでお姫様ポジションも結構珍しいのではないかと思います。

 羽織

 羽織の付喪神。長月家に住む6人の付喪神のリーダー格。兵馬やぼたんに対しては、積極的に関わっていくというよりも、保護者のような立場から導くような存在。付喪神は全員デザイン固定のはずなので、眼鏡はどこから来たというのか。

 特殊能力は、自身がまとう羽織を伸縮させたり、自身が羽織に変化して仲間の力を向上させる。戦闘面ではあまり活躍している印象がありませんが、長月家の状況を説明することが多いため、物語の司会進行のような立場。

 薙

 刀の付喪神。短気で喧嘩っ早いので、初期こそ兵馬と衝突しますが、一番早く兵馬を認めます。特殊能力は、刀を地中から出現させたり、手に持った刀での肉弾戦です。前衛で、絵面も他の漫画と変わりないので、あんまり特色ないですねぇ。

  匣

  匣 (はこ)の付喪神。普段黙っている巨漢ですが、有事にもやっぱり黙っている巨漢。この人が口を開いたことが、本編中あったのか記憶にありません。

 結界での補助担当であり、物語上も非常に重要な役割を担っているのですが、如何せん黙っているので印象に残らず。可哀想!

 鏡

 鏡の付喪神。長命のはずなのに幼女の姿なのは、やはりそういう需要に応えるためでしょうか。シリアスもギャグもこなす便利な役柄です。特殊能力は、額に発生する目で物事の過去を見通したり、鏡を発生させる等。

 鏡を使用した攪乱で、戦闘では地味に役立ちますが、乱戦になってくるとあんまり能力を活用できていない気がします。

  硯

  硯の付喪神。軽薄なイケメンぽい立ち位置で、鏡同様ギャグパートでもシリアスパートでも活躍。特殊能力は、墨による相手の拘束や、切断。戦闘面では一番使い勝手がいい気がします。

 結

 簪(かんざし)の付喪神。ぼたん第一主義で、兵馬以上の堅物。主にシリアスパート担当。特殊能力は、簪で繭のようなものを発生させ、打撃や拘束の拘束。威力という意味では、6人中最強。

 主にこの8人を中心に物語が進みます(特に兵馬とぼたん)。戦いの中で変わっていく自分、育まれていく関係性や固まっていく決意等、ストーリーだけではなく、それぞれの特殊能力を活かしたコンビネーションは非常に見ごたえがあります。

 まとめ

 13巻まで全て読み終えましたが、物語は既に終盤です。アニメでどこまでマンガの表現を活かせるのか不安はありますが、非常に楽しみでもあります。

 テンポが良く、盛り上がるときは熱くなれる物語なので、ぜひご覧ください。

 それでは、また!

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ABOUT ME
榊原 豪
榊原 豪(さかきばら ごう)です。都内在住で、主にマンガ、映画、小説、アニメ等のエンターテイメントの情報を発信していきます。 楽しいこと、面白いことを探すのが好きですし、「何を『面白い』というのか?」という考察なども結構好きです。 よろしくお願いします。