こんにちは、榊原です。今日は映画の紹介です。4月12日から上映開始の「名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」についてお話しします。公開から2週間程度が経過したということで、ややネタバレを含んでいくので、未見の方はご注意ください。
あらすじ(公式HPより)
北海道・函館にある斧江財閥の収蔵庫に、怪盗キッドからの予告状が届いた。今回キッドが狙うのは、幕末を生きた新選組副長・土方歳三にまつわる日本刀だという。ビッグジュエルを追い求めるキッドが、なぜ刀を狙うのか? 一方、西の名探偵・服部平次とコナン達も、函館で開催される剣道大会の為に現地を訪れており、犯行予告当日、平次がキッドの変装を見事見破り追い詰めるが……!?
時を同じくして、胸に十文字の切り傷がつけられた遺体が函館倉庫街で見つかる。捜査線上に浮かび上がったのは、“死の商人”と呼ばれ、アジア一帯で武器商人として活動する日系アメリカ人の男。彼は戦時中の軍需産業に深く関わっていた斧江家初代当主が函館のどこかに隠したとされるお宝を探していた。それは当時、日本の敗色濃厚だった戦況を一変させるほどの強力な兵器だという噂も…。そして、そのお宝とキッドが狙う刀は関係があるようで、刀を狙うキッドに対して謎の“剣士”の影が迫る。
全体について
平次が出てくるコナン映画は僕が大嫌いな「迷宮の十字路」を思い出して嫌な予感を抱えて劇場に行ったものの、悪くなくて逆に驚きました(笑)。ただ、言い方を変えると「悪くはない」止まりの映画だと思います。
平次の恋愛話、刀を巡る争奪戦、宝の謎解き、殺人事件と論点が拡散しているため、一つ一つの話は非常に薄味です。観ている時は楽しいのですが、見終わった後は印象に残らない。そんな映画でした。
実際、ホームページで「キーパーソン」の項目を見ると、全員レギュラーキャラまたは準レギュラーで、ゲストキャラは大泉洋演じる川添刑事のみです。この作品は、殺人と宝探しをトッピングした、青山ワールドのお祭りです。アルコールを入れてみるくらいがちょうどいいと思います。
ストーリーについて
お宝争奪戦
刀に込められた謎と争奪戦が推進力となって進んで行きますが、首をかしげる所が多い話でした。財宝として、(未確認の)兵器の存在を争いますが、半世紀前の兵器にいったい彼らは何を期待しているんでしょう?
経済的価値を考えるのは、ギリギリ呑み込むとしても(それでも相当に疑わしいと思いますが)、外国の武器商人がやってくるってどういうことなんでしょうか。ドローン兵器を考えても、軍事技術は日進月歩の世界なので、旧時代の兵器なんて出る幕がないと思うのですが。
平次の和葉への告白
告白そのものは最小限の描写で済んで良かったと思いました。本編で決着つけなくちゃいけないので、まぁ、そうなるでしょうねという感じです。むしろ平次の告白に付随する紅葉と伊織の描写はマジで長くてきつかったです。最後の方ではちらっと役割がありましたが、本当に必要だったのでしょうか?
あと、おそらく誰もが突っ込むのは伊織が落とすスタングレネードの扱いですね。殺傷能力は無いものの、至近距離で喰らえば、鼓膜が破れるくらいのことは平気で起こるような。援護としてコナンの近くに投げつけましたが、高速運転中の人間に対してスタンを投げるとか殺しに来ていると思いました。
謎解きについて
土方歳三の俳句を知っていないと解けなかったり、気球等の高さから観測する必要があったりと、解かせる気ねぇだろと言わざるを得ない激ムズ難度に笑いました。
コナンの謎解きにはよくあることなので、言うのは野暮というものなのだと理解はしていますが。
怪盗キッドについて
ポスターで前面に押し出されているので狂言回しなのかと思いきや、最初以外、見せ場がなくて驚きました。黒羽快斗というキャラクターは(あまり目的意識のあるキャラクターではないから)ある意味完結しているので、話に絡ませるのが難しいのでしょうか。
公式ホームページにあった煽りの「怪盗キッドの真実」については、ファンが想像する二次創作的な感じがしました。映画でやったということは公式なのだと思いますが、この設定をこれ以上広げるのでしょうか?
公式ホームページを見ると、『「新一みたい」と思われるほど、工藤新一と顔立ちが似ている(六代目沖田総司)』『風貌がどことなく小五郎に似ているが(中森銀蔵)』と書いてあるので、まだあと2人いけそう。
アクションについて
本作で最も微妙に感じたところです。悪役その1はコナンたちを部下に襲わせますが、今回は武闘派の平次が常に傍にいるので全く脅威に感じませんし、武器商人が市街地で拳銃を使っても全然警察が介入する様子がありません。
平次と聖のセスナ上での激突はちょっと楽しかったです。もはや剣術の腕というよりも、高所でどれだけ動けるかっていう大胆さの勝負になりますよね。
お宝について
完全なネタバレになりますが、どうしても書きたいのでちょっと↓の方に書きます。
まさかのエニグマでテンションが上がりました。2014年にベネディクト・カンバーバッチが主演した「イミテーションゲーム エニグマと天才科学者の秘密」という映画が大好きなので、まさかコナンで見れると思っていませんでした。
↑第二次世界大戦でドイツ軍の無敵の暗号機エニグマを破るため、数学者アラン・チューリングがコンピュータの原型になるものを開発する胸熱映画です。
最後に
色々文句も言いましたが、見ているときはテンションが上がる部分も少なくなく、楽しい映画です。なんだかんだと、祭りは参加してなんぼだと思います。二次創作的と言いましたが、逆に言えば、ファンが考えた「こうなればいいな」という夢が詰まった作品です。
今作を見た後で、「イミテーションゲーム」を見るのがおススメです!それでは、また!