こんにちは、榊原です。紺野天龍さん著作の小説「神薙虚無最後の事件」についてご紹介します。
この小説は、こんな方にお勧めです。
- 「ダンガンロンパ」のような荒唐無稽なミステリが好きな方
- 「屍人荘の殺人」のような一風変わった本格ミステリが好きな方
- ベタアマカップルの描写が好物の方
- 西尾維新さん、奈須きのこさんのような、中二的ネーミングセンスが好物の方
目次
あらすじ(HPより)
真実は、人の数だけある。
本格ミステリ界激震! 新たな多重解決ミステリの金字塔がここに誕生!
大学生二年生の白兎(はくと)は、アパートの隣に住む一つ年下の後輩・志希(しき)に淡い恋心を抱いていた。
二人が自宅に向かう路上、体調を崩し倒れこむ女性、唯(ゆい)と出会う。
彼女が手にしていたのは、唯の父、御剣大(みつるぎ・まさる)が著した20年前のベストセラー『神薙虚無(かんなぎうろむ)最後の事件』だった。
「神薙虚無」シリーズは、実在した名探偵・神薙の活躍を記したミステリで、シリーズ最終巻では解かれる謎を残したまま完結となり、ミステリ好事家の間では伝説となっているという。
白兎と志希は、唯の依頼で大学の「名探偵倶楽部」に所属する金剛寺とともに、作品に秘められた謎を解こうとするのだがーー。
過去と現在、物語の中と外、謎が繋がり、パンドラの箱が開くとき、目にするのは希望か絶望か!?
いいところ
サクサク読めるストーリー
本作は、白兎が語る推理パートと《観測者》御剣が語る作中作パートに分かれていますが、両方とも非常に読みやすいです。
一人称で描かれていること、登場キャラクターに不快な人物がいないこと、情景描写よりも物語のテンポに重きを置いていることが原因と思われますが、本当にサクサク読み進められます。
数々のニヤニヤ描写
白兎と志希は付き合っていないことになっている二人なのですが、その関係性を楽しめる描写が↓の感じで濃密に描かれています。
- アパートの部屋が隣同士
- 当番制で互いに料理を作っている
- 志希が他の人の誘いを断って白兎と昼食を取る
- 白兎が他の女性と合った話をすると、とたんに不機嫌になる
実際に付き合っていてもここに辿り着けず逝った英霊たちのことを思うと(自分含む)、マジで桃源郷かと思うような楽しさに溢れています。
ワクワクさせる中二ネームの数々
人名、武器名などにつけられた中二的名前の数々にテンションが上がります。
人名
- 金剛寺煌(こんこうじ きら)
- 十六夜紅海(いざよい くれみ)
武器名
- 落日供物(ラスト・ジャッジメント)
- 黄金戦棺(ゴールデン・スランバー)
読めるか!というより、最初から読ませる気がないようなネーミングの数々に爆笑と尊敬とワクワクが止まりませんでした。
イマイチなところ
謎解き部分のごちゃつき
これは、本格ミステリの宿命なのかもしれませんが、トリックの解明が結構怠かったです。
僕は名探偵コナンを読むときでもトリックの解説はほぼ飛ばすので、好きな人は大丈夫かもしれません。
要素ぶち込み過ぎ
容姿端麗かつ裕福で尊大な名探偵、中二的アイテムを持った作中の探偵たちなど、あんまり活きているようには思えなかった要素がちらほらありました。ちょっと要素が多すぎたのではないでしょうか。
探偵倶楽部の面々と作中作の探偵チームが何かしら相似するのかと思ったら、そんなことは無かったりするので、ちょっと残念でした。
終わりに
登場人物に露悪的な人物はおらず、展開もパキパキと進むため、ストレスなく最後まで読み進められます。
続編を予感させるラストになっているので、シリーズ化するのであれば次も読みたいと思うくらい楽しめます。
読後感もスッキリなので、休日の読書に最適です。ぜひ、ご覧ください。
それでは、また!
作中作を描いた映画の傑作。マジで後味が悪いので注意!!