こんにちは、榊原です。福岡のνガンダム見に行きたいけど、ちょっと遠いですねぇ……。今日はよしたにさん著作の「ゆるゆる楽しい40代ぼっち暮らし(以下「ぼっち暮らし」)」について紹介します。
家庭を持たない人間が30を過ぎてしばらく経つと、少しずつ生活の鈍化が始まります。ほんの少しの変化はある者の大筋は変わらず、気がつけば一年が過ぎています。
ぼっち暮らしは、そんな日常に対する「これでいいのか?」という漠然とした不安を「これでいいのかもしれない」と若干前向きにしてくれる本です。
こんな方にお勧めです。
日々の出来事に起伏が無くなってきた方
自分と違う道を歩く友人・知人に寂寥感を覚えている方
歳をとっていることに実感を感じている方
目次
概要
20代の時は気づかないんですけど、30代半ばに入って、段々と景色が変わってきたことについて激しく共感します。
自分で持っていた夢は成否が大体出ていますし、結婚する人は粗方しています。仕事も転機を自分で作らない限り、大きな変化はないでしょう。
中年になると、人生の変動幅が少なくなるんですよね。
ぼっち暮らしでは、40代に入った著者が変動幅の少なくなった日々について思うことをつらつらと物語ります。
過去作「いつかモテるかな」では、婚活に挑戦し、今までは見てこなかった世界に目を向ける著者が描かれますが、ぼっち暮らしでは「これでいいのかな」とある種諦観に似た落ち着きが見えます。
「いつかモテるかな」は男性だったら一度は目を向けざるを得ない要素である「モテ」に七点八倒ぶりする著者の姿が実に楽しい本ですので、一度ご覧いただきたいです。
ぼっち暮らしもですが、よしたにさんは、自分の身を切って客に差し出している感じが凄まじい……!
いいところ
淡々とした絵柄と語り口調で非常に読みやすいです。項目ごとに短ければ1ページ、長くても4ページ程度で終わります。
どこか自虐的な部分はありますが、アッサリ目に書かれているので辛くはありません。むしろ、「こういうこと感じてるの、僕だけじゃないんだ」と安心させてくれます。
歳をとるということ
ぼっち暮らしを読むと、歳をとるということに思いを馳せ、自分や周囲の状況について考えさせられます。
将来に思い描いていた夢があっても、それが職業や資格に関するものであれば今後成し遂げられる可能性は非常に低くなっていることでしょう。
付き合いがあった友達は結婚や育児で疎遠になります。どうしても子どもが小さいと旅行はほぼ不可能ですし、飲み会も家族との調整が必要なります。
仕事では自分がどういう位置にいて、今後どうなっていくのかという天井が見えてきます。バリバリ続けていくのか、一歩引いて趣味を優先するのか、選択を迫られる頃でしょう。
ガムシャラに走り、物事に一喜一憂していた時代が終わり始めた頃ですが、よしたにさんは「可能性なんてあればあるだけいいと思ってたけど狭まることで見える景色もあるんだなー……」と年を取ることに悲観的じゃありません。
ぼっち暮らしを読み終わるころには、「これでいいのかな」と日々に不安を感じていたとしても、「これでいいかも」とほんの少し前向きになれることでしょう。
イマイチなところ
アッサリで薄味
おそらくは本のコンセプトなので仕方のないところだと思いますが、ぼっち暮らしを読んで新しい何かを始める気になる人はまずいないでしょう。
モチベーションを向上させ、何かに挑戦するための熱を得たい人は別の本を読んだ方がいいと思います。
ぶつ切り
ぼっち暮らしにはナンバリングがなく、あとがきの文章を見る限り続巻は出なさそうですが、ちょっとまとまりがない最後になっています。
冷静に考えると……
よしたにさんは「ぼく、オタリーマン」でコミックエッセイの一世を風靡した超有名作家です。
経済的にはサラリーマンをやっている平均的な40代男性よりかなり自由でしょうし、定期的に集まって飲む友人もいます。
「うん、うん」と頷きながら本を読んでいても、ふと「あれ?この人、結構いい位置にいるのでは?」と気づかされる可能性があります。
最後に
ダラダラと日々を生きることに抱く漠然とした不安を忘れさせてくれるコミックエッセイです。
この本を読んだ後は、しばらく会っていない友達に連絡して、近況を確かめ合いたくなることでしょう。
それでは、また!