こんにちは、榊原です。今日は、このサイトでたびたびご紹介しているシナリオライター「虚淵玄」さんの作品について、一挙まとめてご紹介します。
今後の鑑賞などの参考として楽しんでいただければ幸いです。また、あくまでも榊原が読了済み、鑑賞済みの作品に限っています。
目次
ファントム・オブ・インフェルノ(PS2、Xbox360)
あなたのいない世界に、わたしは、生き残りたくない
あらすじ
目覚めると、目の前にアインと名乗る一人の少女がいた。少年は彼女から殺し屋となるよう告げられる。
それまでの記憶を消され、アインのもとで数々の暗殺術を学ぶうちに、いつしか少年は組織最強の暗殺者にまで成長していく。
陰謀が渦巻く、凶暴で無法な世界に芽生える純愛の行方は何処へ…
雑感
ハードな世界観や登場人物に対する容赦ない仕打ちは、20年前から変わらないことについて、根深いものを感じます。
虚淵さんの作品全体に通して言えることは、覚悟を決めた主人公が超絶カッコいいのですが、本作の主人公『吾妻 玲二』も最高です。
記憶を奪われ、殺しの技術を叩きこまれ、組織の殺し屋に仕立てられるという境遇ながらも、自分を取り戻し、自由を取り戻し、明日を掴もうとする姿勢には感嘆します。
吸血殲鬼 ヴェドゴニア(小説)
貪り尽くせ 夜明けまで
吸血殲鬼ヴェドゴニア
凶悪過ぎる仮面ライダー
悪趣味な武器が多すぎ
どう転んでも切ないラスト

熱量
爽快感
悲惨さ
後味の悪さ
あらすじ
吸血鬼、それは生者の血を糧に永遠の時を生き長らえ、古より歴史の影で暗躍してきた闇の眷属。
その不死の肉体を求めて策謀をめぐらせる邪悪な信徒たちの前に、闇の仕置人、吸血鬼ハンターたちが立ちふさがる。
現代に蘇る聖戦に運命の悪戯に巻き込まれていく主人公と、彼を取り巻く少女たち。彼らに生きて再び夜明けを迎えることは出来るのか?
雑感
元は18禁のPCソフトの小説。虚淵さんのシナリオを、別のライターの人が切り張りして作成したものです。
そのためか、やや消化不良なところや描写不足が散見されますが、疾走感がある文章、狂っているとしか思えない武器設定などは、安定の虚淵節が光ります。
作品内にSUZUKIが生産している隼というバイクを魔改造したデスモドゥスが登場して、Fate/zeroのセイバーのバイクを彷彿とさせます。
この作品、半吸血鬼の主人公が、その性能を発揮するためには致死量の出血をしなければならないということで、毎度主人公が戦うたびにエライことになります。
訓練もせずに成果を求めるのであれば、相応の痛みを覚悟しなければならないということでしょうか?怖すぎます。
鬼哭街(PC、小説)
我は、この一刀に賭ける修羅
あらすじ
間違った未来、誰かが選択を誤った世界。犯罪結社「青雲幇(チンワンパン)」の牛耳る上海に、一人の男が舞い戻る。
彼の名は孔濤羅(コン・タオロー)。かつては幇会の凶手(暗殺者)であり、生身のままにサイボーグと渡り合う「電磁発勁(でんじはっけい)」の使い手である。
仲間の裏切りによって外地で死線をさまよった彼が、一年の時を経て上海に戻ってみれば、すでに裏切り者たちは幇会の権力を掌握し、そればかりか濤羅の最愛の妹までもが辱められ殺されていた。
怒りに身も心も焼き尽くされた濤羅は、その手に復讐の剣を執る。
仇は五人。
いずれ劣らぬ凶悪無比のサイボーグ武芸者たちを、一人また一人と血祭りに上げながら、孤高の剣鬼は魔都上海の夜闇を駆け抜ける。
──我はこの一刀に賭ける修羅。
雑感
上海で繰り広げられるサイボーグ武芸者VS刀持ちの気功術師という、ノリで全て構成したような設定が激熱です。
親友に裏切られ、妹は殺された後という、虚淵さんの作品の中でも、主人公の不遇ぶりは、トップレベルではないでしょうか。
素晴らしいのは、生身でサイボーグと戦うという、馬鹿馬鹿しい設定を「あるやもしれぬ」と納得させる文章力。こちらを正気に返らせることなく、血沸き肉躍る戦いの渦に巻き込みます。
ラストがハッピーかどうかは、人の解釈によって変わりそう。
Fate/zero(アニメ・小説)
第四次聖杯戦争開幕
あらすじ
1994年11月。主人公・衛宮切嗣は、名家アインツベルンの委嘱を受け、妻のアイリスフィール・フォン・アインツベルン、従者の久宇舞弥とともに聖杯戦争に身を投じる。
聖杯戦争は、過去の英雄を呼び出し、一陣営になるまで殺し合い、万能の力である聖杯を得る儀式である。
呼び出す英雄は、セイバー、アーチャー、ライダー、アサシン、ランサー、キャスター、バーサーカーの7つ。
切嗣は、最優と呼ばれるセイバーの英霊を召喚し、戦いに臨む。
一方、聖堂教会に所属する言峰綺礼は、父に命じられるまま、魔術師の遠坂時臣を勝利させるべく戦いに参加する。
ふとしたきっかけで、綺礼は切嗣のことを知るようになり、強い興味を感じるが……。
己が願望をかなえるため、最強を証明するための戦いが始まる。
雑感
他作品のスピンオフだったはずなのに、気がつけば最終バトルは、無限回復殺人マシーン(切嗣)とチート八極拳使い(綺礼)という、鬼哭街を思わせるバトルになっている不思議。
各陣営を通して、「少年の成長」「歪んだ美意識の行きつく先」「倫理に縛られた男が解き放たれる瞬間」など、様々な要素で魅せ、新たな希望に繋げていく傑作。
でも、苦みのスパイスがかかり過ぎのキャラが少なからずいるので、明るい雰囲気の作品を求める人にはお勧めしづらい作品です。
ブラックラグーン シェイターネ・バーディ(小説)
見失ったものと、見捨てられた者の闘争
あらすじ
ラグーン商会は依頼として、海賊行為をするスタン率いる一団の運送と実行の補助を請け負う。しかし、依頼人の狙いがラグーン商会の面々と知己であり、ロアナプラを仕切る勢力の一つであるマフィアの頭目、「張維新(チャン ヴァイサン)」の暗殺であることを知り、色を失う。
依頼人に騙されていたことから、契約を無効とし、張の援護に向かうラグーン商会。一団の一人、ジェイクに挑発された遺恨を晴らすため、嬉々としてレヴィは牙をむくが、スナイパーとして凄腕を発揮するスタンに阻まれる。
幸い張は無事であったが、共謀を疑われたロックたちの立場は悪い。疑いを晴らすため、ロアナプラに潜伏したと思われるスタンたちを狩りだすために調査に乗り出すが……。
雑感
タイの架空都市ロアナプラを舞台に、ヘロインに堕ちたスペツナズの狙撃兵と、元上官の絆を歪んだ形で描いた秀作。
スピンオフ作品でありながら、主人公が話の核心に絡まないというのは、結構珍しい気がします。
やっていることは命の奪い合いなのに、ひたすら楽しそうな登場人物たちが印象的な作品です。
ブラックラグーン 罪深き魔術師の哀歌(小説)
サブタイトルの中二ぶりがヤバい
あらすじ
暴力協会のシスターにして、CIAのエージェントであるエダは、上司より「ペルセフォネ」作戦を遂行するよう命令を受ける。
ペルセフォネ作戦とは、アメリカの富豪の娘「トリシア・オサリバン」を誘拐し、富豪が友誼を持つマフィアとの関係を断たせるというものだった。
命令を遂行するため、エダがコードネーム「魔術師(ウィザード)」との接触のために待ち合わせ場所である教会へ赴くと、トリシアを連れて現れた人物は旧知のロットンだったが……。
雑感
ブラックラグーンのスピンオフ第二段。群像劇スタイルになっていて、今までの虚淵さんの作品とは一線を画す実験作のような雰囲気です。
読んでいて楽しくはありますが、他作品に比べると結構薄味の作品かもです。それでも、バラライカと張のロックに対する評価のシーンは、一見の価値あり。
楽園追放(映画)
われわれは、どこへ行くのか
あらすじ
ナノマシン技術の暴走により地上文明の崩壊をもたらした「ナノハザード」によって、廃墟と化した地球。人類の98%は地上と自らの肉体を捨て、データとなって電脳世界「ディーヴァ」で暮らすようになっていた。
西暦2400年、ディーヴァは異変に晒されていた。地上世界から謎のハッカー「フロンティアセッター」によるハッキングを受けていたのである。そこで捜査官アンジェラは、生身の身体・マテリアルボディを身にまとって地上世界へ降り立ち、現地の地上捜査員ディンゴと共にフロンティアセッターと世界の謎に迫る。
雑感
モビルスーツ×荒廃した地球×美女とたたき上げの中年のバディという、美味しいテンプレ要素で構成された秀作。
3Dでぬるぬる動く絵に慣れるのには時間がかかりますが、丁々発止の会話と言い、旧市街地で行われる決戦といい、飽きを感じる時間が全くない熱い物語です。
最近は、スロットやスパロボで取り上げられるなど、注目されているようです。上映時間は100分程度と短く、最も短い時間でさらっと楽しめます。
サンダーボルトファンタジー(人形劇)
正統派英雄譚×人形劇
あらすじ
かつて魔界の軍勢が人類を滅亡させようと人間界に押し寄せた戦いがあった。人々は神仙から教えを乞うて神誨魔械(しんかいまかい)と呼ばれる強力な武器群を造り、魔神たちを魔界に追い返すことに成功。
魔界の軍勢との戦より二百年後、神誨魔械が護印師(ごいんし)と呼ばれる者によって監視・守護されている時代。西からやってきた謎の男・殤不患(ショウフカン)と鬼鳥(キチョウ)が出会い、ある取り決めをするが……。
雑感
第三シーズン、2本の映画を全て見ましたが、未だにタイトルの意味が分かりません。おそらく今後もわからないと思います。
虚淵さんらしからぬ、真っ当な英雄譚を人形劇という一風変わった表現で繰り広げてくれます。
ジャンルや展開で好き好きはあると思いますが、誰が見ても面白いし、見やすいという作品は珍しいのではないでしょうか。