こんにちは、榊原です。今日は、映画の紹介です。2月11日より公開開始のスティーブン・スピルバーグ監督作「ウエストサイドストーリー」をご紹介します。
目次
ウエストサイドストーリーについて
1957年に初演が公開されたミュージカルです。1961年に映画化もされ、アカデミー賞11部門ノミネート、10部門受賞というビッグタイトルです。
本作はリメイクとなり、役者などは一新されていますが、ストーリーラインなどはオリジナルのままのようです(僕は未見です)。劇場は7割ほど埋まっており、若い方から結構年配の方まで、幅広い年齢層が鑑賞していました。
あらすじ
舞台はニューヨーク、ウェストサイド・マンハッタン。ポーランド系アメリカ人少年で構成されている非行グループ・ジェッツは、プエルトリコ系アメリカ人の非行グループ・シャークスと敵対関係にあった。
一触即発の状況が続く中、我慢の限界を迎えたジェット団リーダーのリフは、シャークスと決着を付けるため決闘を申し込むことに決め、元リーダーで親友のトニーを連れて中立地帯のダンスホールで開かれるダンスパーティーに出席するため、トニーに参加を持ちかける。
渋々ながらも、親友の頼みを断り切れず出席するトニーだったが、そこでシャークスのリーダーベルナルドの妹マリアと運命的な出会いを果たす。
ストーリー
①前半について
前半はコミカルで楽しい演出が目立ちます。ジェッツの面々が歌いながら集合し、プエルトリコ人を貶めるべく壁をペンキ塗りするのは、悪戯の域を出ません。
ダンスパーティでの争いも、ダンスを通じてぶつかりあうものであり、対立感は出ているものの、暴力の殺伐とした雰囲気は皆無です。男も、女も、笑いながら張り合い、半ばゲームを楽しんでいるかのような印象を受けます。
ところが、ダンスパーティで出会ったトニーとマリアが運命的に恋に落ち、マリアの兄ベルナルドを怒らせた辺りから、雰囲気が変わり始めます。
ダンスパーティのトイレでリフとベルナルドは決闘の約束をします。武器無しという取り決めもしますが、ジェッツのリーダーティフは、用心のためと言って銃を入手しますし、シャークスも同様、鎖や鉄パイプで武装します。
相互確証破壊的な雰囲気の中、事態はシャレにならない方向へ動き出します。
②中盤から後半について(若干ネタバレあり)
ジェッツとシャークスの決闘を止めるようマリアに懇願されたトニーが動きますが、事態はどんどん収拾のつかない方へ進みます。
彼らには、何度も立ち止まる機会があり、実際に言葉に出して警告する人もいるのに、各自の感情を優先して聞く耳を持ちません。
人種の差、貧富の差、性別の違い、色々違うものがある中で共存するには、どこかで折り合いをつけなければいけません。
それを、互いに譲らず、行くところまで行くとこういうことになるよ、という結末まで見せられます。非情に教訓的ではあるのですが、それが見ていて楽しいかと言われると正直首を傾げる出来でした。
特にラスト周辺の悲惨さは結構エグイものがあります。予告編を見て、恋愛映画だからと恋人を連れて鑑賞しにいくと、高確率でぶっ飛ばされる羽目になるので、注意してください。
スタッフロールで、もう一度歌を聞かせてくれるのですが、あのラストからアップテンポな曲をきかされても、全く上がらなかったです。
③トニーとマリアの恋愛について
殺伐とし始める空気の中で進むトニーとマリアの恋愛の描かれ方は、完全にロミオとジュリエットです(本作はロミオとジュリエットに着想を得たそうです)。
マリアは、初対面から好感度マックスで、会って3分くらいで自分からキスしてきますし、トニーは、マリアの名前を知った途端に、マリア 大きな声で口にすれば、音楽が響くようだ 小さな声で囁けば、まるで祈りのよう と歌うヤバいやつです。
徐々に変わっていく心境を描くよりも、完全に恋愛モードに堕ちた二人を眺めてニヤニヤ楽しむというものなのでしょう。
レ・ミゼラブルの時も感じましたが、名前もろくすっぽ知らない相手に愛してるだの、結婚しようだの言うことに凄まじい違和感を覚えるんですよねぇ。
先日観たマイ・フェア・レディの方が、まだ過程を描けていたような……この辺り、見慣れている人なら感じないんでしょうか?
キャラクターについて
対立する勢力ジェッツとシャークスの人数は10人ずつほどいて、全員の名前と顔を一致させるのは困難です。
ただ、メインとなるのは、トニー、リフ、ベルナルド、マリア、アニータなので、他はあまり覚えていなくてもストーリーの理解に苦しむことはありません。
基本的に全員人の話を聞かないのであまり好感が持てませんし、短絡的行動の数々は、若さと環境のせいだけで言い訳ができないと思います。
特に、後半からラストにかけてのトニーの行動について、好感を抱ける人はいないのではないでしょうか?焦るのはわかるんですけど、もうちょっと考えて動けと突っ込まずにはいられませんでした。
音楽について
劇中で流れる音楽は、どれも聞き心地が良く印象的な者ばかりです。特に、予告編でもかかる「Tonight」のメロディーラインは、何回も聞きたくなる切なさと盛り上がりがあります。
Tonightについては、中盤から後半に差し掛かる中で、ジェッツの面々、トニー、マリア、シャークスの面々、アニータが各自の心境を歌い上げるアレンジバージョンもあり、こちらもテンションをガン上げしてくれます。
レ・ミゼラブルのOne day moreもそうでしたが、各勢力が衝突前に歌うのは、後半への期待を高鳴らせてくれるのでいいですよね。
終わりに
オリジナル版を見ていないので比較はできませんが、音楽とダンスは高いレベルでまとまっているので、見て損をしたと思うことはないです。
ただ、中盤から後半の展開の重たさは結構きついものがありますし、主人公が、こちらの共感を失うほど短絡的な行動をとりやがるので、スカッとみられる恋愛映画を期待してみることの無いよう注意してください。
それでは、また!