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激熱ハードボイルドノベル ゲーム「ファントム・オブ・インフェルノ」の紹介

 こんにちは、榊原です。今日は、ゲームの紹介です。ニトロプラスから発売されたゲーム「ファントム・オブ・インフェルノ」についてご紹介します。

目次

作品概要について

 企画・シナリオ・監督を虚淵玄さんが担当したビジュアルノベルゲームです。発売当初は年齢制限有りで発売されていましたが、その人気から、PS2やXbox360等へ移植されました。

 女性が多く登場するビジュアルノベルということで、恋愛もの、いわゆるギャルゲーを想像する方が多くいらっしゃるかもしれませんが、登場するのは、暗殺者、野心多きマフィア、復讐を誓うスラムの少女等、浮ついた気分にさせてくれる要素はほぼありません。

 物語も、命の奪い合い、騙し合いが平然と行われるマフィアの世界を描いたものであり、ハードボイルドな雰囲気の作品です。

 ゲーム中に選択肢がいくつか現れ、その選択により主人公やヒロインの運命が変わっていくのですが、ルートのほとんどで、他のヒロインが死亡するという容赦のなさすぎる物語展開に度肝を抜かれます。

 メニュー画面は、何故か射的の的が表示され、任意の場所でボタンを押すと、銃声と共にその個所に穴が空くという、全く意味の分からない拘りがありました。

あらすじ

 目覚めると、目の前にアインと名乗る一人の少女がいた。少年は彼女から殺し屋となるよう告げられる。それまでの記憶を消され、アインのもとで数々の暗殺術を学ぶうちに、いつしか少年は組織最強の暗殺者にまで成長していく。陰謀が渦巻く、凶暴で無法な世界に芽生える純愛の行方は何処へ…

ストーリー

①主人公の魅力

 記憶を失った青年が、運命に翻弄されながらも、生き抜いていこうとする物語です。ツヴァイと名付けられた主人公は(アインはドイツ語で「1」、ツヴァイは「2」)、暗殺者になるための訓練を受けます。

 ツヴァイは、最初こそ弱気な部分がありますが、訓練して力をつけ、師であるアインをして「怖い」と言わしめるほどに成長します。

 成長してからも、組織間の対立、組織内部の権力争いに巻き込まれ、幾度となく修羅場に直面しますが、守るべきものを見つけ、生き抜くという覚悟をもって歩く姿に、熱いものを感じます。

②訓練描写の魅力

 アインから受ける、殺し屋になるための訓練描写が非常にしっかりと書かれています。筋トレは勿論、平衡感覚を養う訓練、格闘の訓練等、訓練内容は多種多様にわたります。

 中でも銃器に対する描写は抜群で、広告をモデルガン雑誌Gunに掲載しただけのことはあります。ベレッタ、コルトパイソン、ステア―AUG、デザートイーグル等、様々な銃が登場する上に、それぞれの特性、弾の種類、威力などの描写がこれでもかというほど特濃です。

 正直、リアリティーを通り越して、多分に制作者の趣味を感じますが、アクション映画などで銃器に興味のある方なら、満足できるレベルだと思います。

③物語の魅力

 前半は、殺し屋育成として、疾走感あるアクション描写が、中盤はマフィア抗争ものとして、欲望と権力闘争が、終盤では全ての因縁に決着をつけるべく、ド派手なぶつかり合いが見られます。

 それぞれに違った魅力はありますが、やはり全ての人間関係や戦力が交差する終盤の盛り上がりは素晴らしいものがあります。

④キャラクターの魅力

 ビジュアルノベルゲームだけあり、女性キャラクターが多めとなっていますが、前述の通り、一癖も二癖もある特徴的なキャラクターばかりですが、それぞれに違った魅力があります。

アイン

 ツヴァイと同じ境遇の殺し屋で、冷徹に殺人を繰り返します。自分の境遇を嘆き、夢であることを願うツヴァイに対し、「慰めになるなら、構わないわ。夢だと思っていなさい。でも、長い夢になるわよ」とかける言葉は、本作の幕開けとなる印象的なセリフでした。

 序盤は酷く冷たく、無機質な印象を受けますが、自ら意図的に行っていた真意を知ってからは、どんどん印象が変わっていきます。

 あることがきっかけでアインと敵対する関係になり、互いに銃を向け合った時、自分を殺して、先に行って欲しいと願う姿には感動します。その時にアインが泣きながら「この世が無限の地獄じゃないとしたら、それはあなたがいるからよ」という言葉は、本作1,2を争う名シーンになっています。

クロウディア

 ツヴァイが所属する組織「インフェルノ」の幹部で、組織で上り詰めるという強大な野心を持っています。

 肉体的な強さは何もなく、駆け引きと人脈、度胸で成り上がろうとする姿には賛否があると思いますが、印象的であるのは間違いないと思います。かなり手段を選ばないので、彼女の物語では、「そこまでやるの?」ということ請け合いです。峰不二子を10倍くらいどす黒くしたイメージ。

「ケダモノに、なりなさい。誰もが恐れる、ケダモノに」という言葉は、彼女を象徴するセリフだったように思います。

その他

 ヒロインばかりではなく、サブキャラクターも魅力的です。クロウディアの旧知で、勝気ではありながらも実直で情に脆い部分がある黒人の女性リズィ、自らの実験のため、アインやツヴァイを暗殺者に仕立てたサイスマスターなど、それぞれが自分の考えを持っている生きたキャラクターとなっており、躍動感があり、人間が描けています。

イマイチなところ

①絵が古い

 移植作品でも10年ほど前の物になるので、仕方ないのですが、最近の作品と比較するとどうしても古く見えます。

②ハードが古い

 移植版でもXbox360ですし、windowsでも動作が保証されているのは、8までです。ちょっと探してみましたが、steamでも発売されていないようなので、プレイするハードルがちょっと高いです。いい作品なので、またリメイクしてもらいです。

最後に

 よくできたアクション映画のような一作です。プレイするハードルは正直低くありませんが、それを超えてでもプレイする価値のある作品です。ご興味ときっかけがあれば、ぜひプレイしていただけると嬉しいです。

 それでは、また!

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ABOUT ME
榊原 豪
榊原 豪(さかきばら ごう)です。都内在住で、主にマンガ、映画、小説、アニメ等のエンターテイメントの情報を発信していきます。 楽しいこと、面白いことを探すのが好きですし、「何を『面白い』というのか?」という考察なども結構好きです。 よろしくお願いします。