こんにちは、榊原です。今日は、本の紹介です。成田良悟さん著作のライトノベル「Fate/strange fake」についてご紹介します。
好きなテキスト
Fate/strange fake
良質な設定を活かした独自の物語
謎が謎を呼ぶ「偽りの」聖杯戦争
刊行スピードはかなり遅い
設定
キャラクター
セリフ回し
おすすめ度
目次
Type-moonの超人気作ゲームであり、アニメ、マンガ、映画等様々な展開をしている作品です。聖杯戦争という7人の魔術師が、英雄を呼び出し殺し合う儀式を中心として物語を描いています。
ざっくりルールは、原則的にこんな感じです。
本作は、Fate/stay nightのスピンオフ作品であり、2021年1月現在で既刊は7巻です。
「聖杯戦争」「サーヴァント」「令呪」の等のシリーズ特有の用語について、一応の解説はあるものの、ストーリーとキャラクターの関係を楽しむための前提知識として、「Fate/stay night」と「Fate zero」は必須です。
ハードルがちょっと高めと言わざるを得ませんが、アニメ版だけでも押さえておけば問題ありませんし、美麗な絵と迫力のある演出で魅せてくれる作品なので、この機会にぜひご覧いただきたいと思います。
日本の冬木市における第五次聖杯戦争から数年後、アメリカ西部に位置する地・スノーフィールドにて聖杯発現の予兆が見られた。魔術協会の調査の結果、これは何者かがオリジナルの聖杯戦争の技術を模倣したものである事が判明。
不完全な模倣ゆえにシステムには欠陥が存在し、在るはずのクラスが欠け、選ばれるはずのないサーヴァントが呼び出される。そしてアメリカのとある国家機関の思惑により、都市の外からも多くの魔術師達が流れ込み、「偽りの聖杯戦争」が開幕する。
前提知識のハードルが高い、ということは上述しましたが、裏を返せば、ごちゃごちゃとした設定に関する説明はあっさりと書き、登場人物の葛藤や成長、決意に対して力を入れているため、導入からワクワクさせてくれます。
また、過去の作品で確立された魅力的な設定を下敷きに物語を形成していることも、スピンオフ作品としての強みとなっています。
特に、宝具の発動は、自身の正体の露見、莫大な魔力の消費というリスクと引き換えにして勝敗を決定づける特殊能力であるため、内容といい、描写の熱さといい、戦闘における盛り上がりどころとなっています。
名称も「天つ風の簒奪者(リインカーネーション・パンドーラ)」などのロマン垂れ流しの物になっています。読めない。というか、確実に読ませる気がない。
スピンオフ作品としての強みに胡坐をかくことなく、各キャラクターのセリフは、胸が躍るような熱いもの、ウィットに富んだ小粋なものが多く、本作ならではの魅力になっています。
特に魅力的なのは、本作の剣の英霊であるセイバーです。いつも陽気で、現代という時代や文化を楽しんでいますが、時折どこか自虐的になる、というギャップがあります。
「天使にラブソングを」を鑑賞して喜んでいたと思えば、「俺は誰に裏切られても、売られてもおかしくない生き方をしてきた。まさかとは思うけど、俺のことを善人だなんて勘違いしていないよな?」とか言い出しますからね。落差が酷すぎます。
他にも、歌劇場を壊した容疑で連行される前に、「聞け、民衆よ!詩吟と物語を奏でし不可侵の場である歌劇場を破壊したことは、斬鬼の念に堪えない。全ては俺の不覚だ。言い訳はしない」と周囲のやじ馬に対する謝罪が最高でした。
マスターである魔術師とサーヴァントがセットで一陣営ですが、それぞれの陣営の関係性、他の陣営との共闘や敵対、休戦など、様々な関係性が描かれています。
自らの戦う理由に疑いのない者、戦う意義を見失っている者、生前の想いに縛られているものなど、それぞれのキャラクターに確固とした個性があります。
基本的に陽気でありながらも、時折影の差すセイバー、惚けた言動のフラットと彼を見守る突っ込み役のジャック、神への復讐を誓うアーチャーなど、多種多様の魅力あるキャラクターが登場します。
話が進むにつれて、彼らが出会いや衝突、内的葛藤などにより、新たな一歩を踏み出すシーンは感動します(中には感動どころか更に破滅的な一歩を踏み出す者もいますが)。
Fateシリーズは、その物語の構造上、敗退したチームは容赦なく死亡するので、これから後半にかけて、各キャラクターの結末がどのようなものになるのか、非常に楽しみなものになっています。
刊行スピードは1年半に1本程度とかなり遅いですが、逆に言えば、今から少しずつ読み始めても最新刊に追いつくのは難しくないと思います。
良質な設定に独自の味付けを加えた、非常に面白い作品となっています。Fateシリーズに触れたことのある方であれば必見の出来です。
全くFateシリーズを知らない方については、ネットフリックスやアマゾンプライムで見られるアニメ版の一話を見て、趣味に合いそうなら、これを機にシリーズに触れていただきたいと思います。
それでは、また!