こんにちは、榊原です。今日は、本の紹介です。田中芳樹さん著作の小説「アルスラーン戦記」についてご紹介します。
好きなテキスト
アルスラーン戦記
魅力的なキャラクターたち
歴史小説のような壮大なストーリー
第二部は酷い
キャラクター
ストーリー
爽快さ
おすすめ度
目次
田中芳樹とは?
本作のようなファンタジー小説を出すこともあれば、伝奇アクション「薬師寺涼子の怪奇事件簿」、SF「銀河英雄伝説」など、様々なジャンルを手掛ける作家さんです。
中でも銀河英雄伝説は40年以上愛され、現在でもリメイクしたアニメ映画作品が作られるほどの人気です。戦略的軍事物、政治ものとして素晴らしい完成度を誇るシリーズなので、一読されることをお勧めします。
アルスラーン戦記について
古代ペルシャによく似た国で、という設定のファンタジー小説です。基本的に人間しか登場せず、魔法の類もかなり抑えめのため、イメージしやすい世界観になっています。
あらすじ
パルス王国第十八代国王アンドラゴラス三世は、ルシタニアとの戦争に臨むが、策に嵌り、捕虜の身となる。王子アルスラーンは、万騎長ダリューンと二人、逃げる中で参謀ナルサス、女神官ファランギース、吟遊詩人にして剣と弓の名手ギーヴと出会う。
パルスの諸侯を味方につけ、首都エグバターナの奪還と父の救出のために奮闘するアルスラーン。主君としての才覚を発揮し、着実に味方を増やすが、その身を狙う銀の仮面をつけた男が現れる……。
魅力
登場人物
未熟ではあるものの、誰にでも分け隔てなく接する人柄と、民を幸せにする気高い理想を抱くアルスラーン、剛剣を振るう黒衣の騎士ダリューン、知略に優れたナルサスとナルサスに仕えるエラム、軽口を叩き、一行の清涼剤であるギーヴ、美しき女神官ファランギースが主なメンバーです。
それぞれが非常に個性的で、好感の持てる人柄です。結構軽めの会話も多いので、現在でいうところのライトノベルに近いかもしれません。
ダリューンは最強の騎士で、白兵戦では全く危なげがありませんし、ナルサスの策は、まず失敗するということがありません。ギーヴ、ファランギースについても傷を追ったり、苦境に晒されることが皆無なので、全くストレスなく読み進めることができます。
アルスラーンは、最初こそ非力な王子でしかありませんが、奴隷制度が当然の世界において、奴隷の解放を目指し、それを実現すべく君主としての力を身に着けていく、魅力的なキャラクターになっています。
他にも、ナルサスを慕う盗賊の少女アルフリード、調子のいい隣国の王子ラジェンドラなど、多種多様の魅力的なキャラクターが出てくるので、絶対に好きになれるキャラが出てくると思います。
ストーリー
ルシタニアに追われるアルスラーンが、味方を増やしながら、自身の出生の秘密に向き合うことになるというのが大筋です。
ルシタニア軍の追撃から逃れるだけではなく、別の国の権力争いに巻き込まれたり、謎の銀貨面に襲われたりと、色々と邪魔されますが、それら一つ一つのエピソードが本筋とも関連する上、読み応えのあるアクションシーンや、権謀術数が描かれていますので、全く退屈はありません。
上述の通り、メインキャラクターの実力にかなり安定感があるので、ハラハラするというより、この魅力的なキャラクターたちがどういう爽快な活躍をするのかというドキドキがあります。
第二部の問題について
ここからはちょっと文句になってしまいます。この作品、7巻までを第一部、8巻から最終の16巻までが第二部とされます。
一部は、魅力的なキャラクターと、見ごたえのあるアクション、権謀術数がうごめき、先が読めない物語と相当に面白いのですが、二部になってから右肩下がりになっていきます。
アルスラーン陣営のキャラクターたちも、あんまり見せ場がなく死んだり、ナルサスの策もイマイチ効果を発揮せず、爽快感の無いものとなっています。
最後の方に至っては、どうしてこうなったと頭を抱える出来栄えです。長期間にわたる執筆で面倒になったのかもわかりませんが、雑に処理したと言われても仕方のないラストとなっています。
終わりに
「鋼の錬金術師」で超有名な荒川さんが漫画化し、アニメにもなっているので、そちらの方を知っている方が多いかもしれませんが、独特のセリフ回しや、登場人物の心理描写、徐々に才覚を見せていくアルスラーンの魅力は、小説ならではのものです。
第一部で一区切りついていますし、後味のスッキリしたラストになっていますので、是非一部をご覧いただきたいと思います。
それでは、また!