こんにちは、榊原です。今日は、映画の紹介です。1月21日より上映開始の映画「ライダーズ・オブ・ジャスティス」について紹介します。
デンマーク映画だそうで、日本で配給されているのは、主演のマッツ・ミケルセンが超メジャーだからでしょうか。007の悪役ル・シッフルとは似ても似つかないゴリマッチョとしてご登場です。目でようやくマッツとわかりますが、本当に別人のレベルです。
道徳性のある復讐劇
目次
あらすじ(公式ホームページより)
妻が列車事故で亡くなったという報せを受け、軍人のマークスはアフガニスタンでの任務を離れ娘の元へ帰国する。悲しみに暮れる娘を前に無力感にさいなまれるマークスだったが、彼の元を二人の男が訪ねてくる。その中の一人、妻と同じ列車に乗っていたという数学者のオットーは、事故は“ライダーズ・オブ・ジャスティス”と言う犯罪組織が、殺人事件の重要な証人を暗殺するために周到に計画された事件だとマークスに告げる。
怒りに打ち震えるマークスは妻の無念を晴らすため、オットーらの協力を得て復讐に身を投じてゆくが事態は思わぬ方向に…。
魅力
ストーリー
「復讐に意味なんてない」「辛いときには助けが必要だ」「話すと楽になる」等、真っ当過ぎる正論を物語の中で実感させてくれる作りになっています。
妻を亡くしたマークスは医者にセラピーを勧められていますし、娘もセラピーを受けることに乗り気です。しかし、マークスは自らの殻に閉じこもり、オットーたちと共に復讐に身を焦がすことを選びます。
マークスの精神状態は、何本も開けられたビール缶やしょっちゅう吸っている煙草に現れており、娘のボーイフレンドにも臨戦態勢でお出迎えなど、真っ当な状態じゃありません。
あることをきっかけに、今まで周囲がかけてくれた言葉に気づかされ、もう一度自分を見つめなおしていくという、非常に真っ当な造りになっています。
広告の問題点
ちょっとここで、広告の問題点について言及します。予告編ですと、復讐に燃える主人公、「復讐なんて意味はない」と忠告するオットーに拳を喰らわせて黙らせるなど、明らかに「96時間」的な爽快アクション映画であることを誤解させるような作りになってます。
しかし、銃撃などのアクションはありますが、映画の全体からするとかなり短く、どちらかというと傷ついた娘との衝突しながらの関係の構築と妻を亡くした痛みとの向き合い方に尺を使っている映画です。
また、予告ではおかしなメンツでのチーム結成でコミカルな面が強調されていますが、ラースは数十人のセラピーを受けたことがありますし、エメンタールはモニターの解像度が低いだけで机を殴りつける程情緒が不安定です。正直、コミカルと言えるレベルを超えていますと思いました。
主人公のマークス含めて明らかに精神的に問題を抱えている人間たちが集まって、安易に復讐を始めてドツボに入りながらも、互いの傷を癒していくのがこの物語の魅力となっています。
そのため、スカッとするアクション映画を見に行った人は、コレジャナイ感を受けるのではないでしょうか。話の造りがまともなので、損をしたとは思わないのですが、結構メッセージがストレートに道徳的なので、面食らう人多数だと思います。
登場人物
回りくどい話し方で相手を辟易させてしまう研究者オットー、セラピー受講歴20年ほどのハッカーのレナート、キレ気味な顔認証のプロフェッショナルのエメンタールなど、個性的過ぎるキャラクターばかりです。
上述の通り、一人一人が何かしらの問題を抱えているうえに、誰もがコミュニケーションを上手くとることができていません。この物語は主要人物に真っ当な大人は一人もいません。
それでも、自分のコンプレックスや傷について自覚的でありながら、他人の力になろうとする姿勢には、素直に感動できる部分がありました(「俺にも復讐させろ」とエメンタールが言うのは笑うしかありませんでしたが)。変わってはいるものの、どこか和やかになってしまう、好感の持てるキャラクターが多いです。
終わりに
真っ当なメッセージ性がある復讐劇です。エンディングの展開含め、一つの寓話のような物語でした。予告編に流れたような物語を期待していくと肩すかしを食らいますので、ご注意を。
それでは、また!
↑映画を見た後に思い出した本です。面白く、勉強にもなる最高の道徳本。こちらに紹介の記事を書きましたので、読んでいただけると嬉しいです。