こんにちは、榊原です。今日は、映画の紹介です。1月14日から劇場公開された「ハウス・オブ・グッチ」についてご紹介します。
金と欲に塗れたドロドロ愛憎劇
目次
監督やキャスティングについて
監督は、エイリアンで超有名なリドリー・スコット。昨年に「最後の決闘裁判」(リンク先レビュー記事)が公開されてから間もないのに、早くも新作が出ました。80歳を超えてで精力的に活動できるのは、本当に素晴らしいことで、こういう風に年を取りたいと思います。
主演は「アリー・スター誕生」で役者デビューしたレディー・ガガが務めます。脇役はアダム・ドライバー、アルパチーノ、ジャレッド・レト、ジェレミー・アイアンズなどそうそうたるメンバーです。
全員が他作品で主役経験者やアカデミー受賞歴のある実力派で、こんな人たちを集めてこれたリドリー・スコットの力を感じます。
特にレディー・ガガは前作では歌手という自らの個性にもあった役柄でしたが、今回は純粋に役者として演じますので、その点にも注目が集まります。
あらすじ(公式ホームページより)
貧しい家庭出身だが野心的なパトリツィア・レッジャーニ(レディー・ガガ)は、イタリアで最も裕福で格式高いグッチ家の後継者の一人であるマウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)をその知性と美貌で魅了し、やがて結婚する。
しかし、次第に彼女は一族の権力争いまで操り、強大なファッションブランドを支配しようとする。順風満帆だったふたりの結婚生活に陰りが見え始めた時、パトリツィアは破滅的な結果を招く危険な道を歩み始める…。
前提知識について
本作は、経営開始時は同族経営だったブランドであるグッチが、如何にしてその形態を変えたかという実話ベースの物語です。
最初に表示される字幕で「実話に着想を得た」と書いてあり、脚色されているためか、本作をみるだけで物語としては完結し、グッチ家や本作で描かれる騒動について前提知識が全くなくても大丈夫です。
ただ、グッチは高級ブランドであること(キーケースでも3万程するそうです)、トム・フォードというデザイナーが低迷した人気を立て直したことを知っていれば大丈夫だと思います。
なお、トム・フォードは後年に自身のブランド(007シリーズでも使われた高級ブランド)を立ちあげ、「シングルマン」という映画を監督しています。
魅力
ストーリー
パトリツィアがマウリツィオと出会い、関係が怪しくなってくるまでの、約20年ほどを描いています。映画内期間としては結構長めですが、エピソードを上手く整理して、分かりやすくなっていると思います。
前半は、あんまり僕が恋愛映画を見ないためか、前半の出会いから結婚までのシーンが若干長すぎるように感じました。
パトリツィアの最初からマウリツィオにグイグイ行く様子にちょっと辟易しましたし、マウリツィオも応じて家を捨て、パトリツィアの父が経営する会社に就職する始末には、「これが若さか」とため息。休憩の間に社内情事までかましてくれます。この辺は正直怠かったです。
ただ、それが終わり、グッチと彼ら夫婦が絡むようになってからは、金と駆け引きと感情がドロドロに混じり当てエライことに。
ひたすらに権力を求めるパトリツィアとそれに引き気味のマウリツィオ、才能を認められたいパウロ、権勢を握るアルドの思惑が交差するシーンの数々は、中々にキツイものがありました(プラスポイントです)。
パトリツィアの最後のセリフは、この映画を見た人なら必ず耳に残る、シンプルで印象的なものになっているので、是非聞いていただきたいと思います。
役者の演技
脇役の全員が実力派ということもあり、安心してみていられます。ジャレッド・レトはボンクラな中年を演じているのですが、本来は超イケメンで、数時間の特殊メイクをしてこの役に臨んでいるとのことです。掲載した予告編に出るインタビューを見ると「いや、お前誰だよ」と突っ込むレベルです。
安定のアダム・ドライバーや重鎮感が滲み出ているアルパチーノもいいのですが、この中でキッチリと自分の演技ができるレディー・ガガは特筆すべきだと思います。
マウリツィオと関係を深めていくシーン、高級ホテルで泡ぶろに入って嬉しそうなシーン、そして段々と歯車が狂って、表情に影が差すシーン。一つ一つのシーンが印象に残ります。
話の都合上パトリツィアが段々と見ていてキツイことになりますが、それって、演技がきっちりとできているということなので、次回作も楽しみです。
ファッション等
往年のグッチを再現しているのだと思いますが、どれもこれも煌びやかでひたすらオシャレです。顧問弁護士の来ているスーツも見るだけで上質な生地の感じがしますし、見ているだけで気分が上がります。
ファッションについて興味がない方でも、高級ホテルでの食事、豪華な邸宅での歓談、高級車の乗り回しなど、金にものを言わせたセレブ生活が垣間見えるので、楽しめると思います。 登場人物
マイナス点
上映時間が長め
最近は長尺の映画を多く見ている気がしますが、本作も予告編を合わせると3時間近くあります。このくらいになると、見ると結構披露しますし、一日の予定が立てづらいんですよね。
もうちょっとエピソードを整理して、2時間半くらいにしてもらえると良いような気がします。
予告編見せすぎ問題
本予告を見るだけで、ラスト周辺の流れが分かるようになっています。実話を基にした映画ですし、知ってるよね?ということかもしれませんが、ここまで見せる必要が果たしてあるのだろうかというレベルです(掲載した予告編は、そのシーンがないものです)。
終わりに
オシャレなミステリー化と思いきや、家族の愛憎ドロドロサスペンスだったので面食らいました。何度も見たい類の作品ではありませんが、煌びやかなセレブの世界や実力者の役者の演技合戦は、一見の価値ある良作だと思います。
それでは、また!