こんにちは、榊原です。本屋で思わず手に取ってしまった「完全教祖マニュアル」を読んで思ったあれこれについて書いて行きます。
作者について
架神恭介さんと辰巳一世さんの共著です。裏表紙の方は架神さんの写真になっているので、架神さん主導の本なのでしょうか。
他の著作として「仁義なきキリスト教」「もしリアルパンクロッカーが仏門に入ったら」など、頭がどうかしているとしか思えない著作ばかりです。
後者のタイトルは、当時にブームとなっていた岩崎夏海さん著作「もし高校野球のマネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」をもじったタイトルとなっています。
タイトルこそふざけていますが、仏教についてかみ砕いて説明し、よく整理されている本です(ファッキューメーン!など、頭の悪いセリフがガンガン出てくるので、そういう意味でも期待を裏切りません)。
見所
新鮮な切り口
宗教というものを分析した本は数多けれど、宗教を設立するという切り口で書かれた本は珍しいです。宗教の設立、カリスマ性を高める方法、悟りの開き方など、『そんなことができるの?』と疑問視される点を軽やかに説明しています。
学術本ではなくエンタメ本のためコミカルな文体ではありますが、アドバイスは具体的かつ効果的(?)なものが多く、読んでいて頷かされます。
教義は、自分で抽象的なことを適当に言っておいて、頭のいい弟子が理屈をつけてくれるのを待つというくだりは爆笑しました。
ただ、世に広まっている数々の宗教も、実際はこんな感じで広がったのではないかと思わせるものも少なくないので油断できません。
知識に裏打ちされた風刺
西暦70年のエルサレム神殿破壊、禅宗の暴力的な悟り手法、イスラム過激派の自爆テロなど、複数の宗教の歴史や行為を風刺的にマニュアルとして再構成しています。
書きぶりは相当に舐めていますが、きちんと調べて書いてあるので、割と勉強になるのではないでしょうか。本作の知識を披露する相手は相当選んだ方がいいとは思いますが……。
終わりに
斬新な切り口で宗教を見ているエンタメ本です。ユーモアがあり、楽しく読んでいるうちにあっという間に終わります。
ただ、視点には風刺の色が強いうえ、タイトルも強烈なので、持っていることを人に知られることは避けた方がよいかと思います(恋人の本棚に本作が並んでいることをご想像ください)。
それでは、また!