10年やってきたんだ。どうせ歩くなら、楽しく歩け。書籍「新・コータローまかりとおる!柔道編」の紹介

こんにちは、榊原です。今日は、本の紹介です。蛭田達也さん著作の漫画「新・コータローまかりとおる!柔道編」について紹介します。

/真っすぐなスポーツ格闘マンガ

新・コータローまかりとおる柔道編

小学生からカツアゲされる主人公

柔道の選手として登場するカマドウマ

事前知識不要

4

ストーリー

6

キャラクター

4

真っすぐさ

4

おすすめ度

目次

コータローまかりとおる!について

 極端流空手を使う少年、新堂功太郎が学園内の様々な敵を相手に戦っていくという物語が主軸になっています。

 1982年から連載が開始され、映画化もされています。千葉真一さんが出ているので驚きました。真田さんは、るろうに剣心の縁として出演されている新田真剣佑さんのお父さんです。時代を感じます。

 今日ご紹介するのは、この作品が59巻で一度完結した後、新たに開始されたシリーズとなります。

 前提知識について

 主役の新堂功太郎、ヒロインの渡瀬真由美を始め、旧シリーズのキャラクターも出てきて、彼らの因縁にほぼ説明はありません。

 しかし、やり取りを見ているだけで、どういう関係性はおおよそ掴めるので、本作を楽しむうえで旧シリーズを読む必要は全くありません(僕も旧シリーズは一冊も読んだことがありませんでした)。

 また、今回の物語で功太郎は物語的な意味で成長はしません。自分の無力さに打ちのめされつつも、柔道に打ち込み、技術的にも精神的にも成長するのは、新キャラクターである西郷三四郎のため、新シリーズからでもスムーズに感情移入できる仕様になっていますので、新規読者でも全く問題ありません。

あらすじ

 留年した功太郎が空手部への新入生勧誘を行ったことがきっかけで、第一柔道部の主将である伊賀、一年生の醍醐、醍醐にリンチを受けていた西郷などとかかわりを持つ。

 ひょんなことから、功太郎と伊賀は柔道の試合を行う。柔道未経験者である功太郎は善戦するも、伊賀の一本背負いの前に敗れる。

 雪辱を誓う功太郎は、西郷や第一女子柔道部のクミなどをチームに引き入れ、極端流柔道部として学園内の大会に出場するが……。

魅力

ストーリー

 往年の少年漫画らしく、友情・努力・勝利が柔道という素材で描かれています。学園の大会は、優勝すると極端流の土地を得られるという商品につられ、柔道部だけではなく、アームレスリング、相撲など、明らかに柔道と関係のない部活も参加していて、異種格闘技戦のような形になっています。

 上述しましたが、本シリーズでは功太郎は伊賀との戦いだけを期しており、それ以外の試合においては完全にふざけています。

 本シリーズにおける実質的な主役は、10年柔道に打ち込んできたものの、全く成果が出ず、最下級の白帯で、同級生から「シロ」と侮られている三四郎です。

 小学生にカツアゲをされるという、度を越した気弱で惨めな思いをしている彼が、実力を認める新堂、優しく励ますクミ、檄を飛ばす後(うしろの)、敵視する醍醐等と出会うことにより、努力の継続により地区されていた実力を開花させ、自信をもっていくのが本作の大きな軸となっています。

 素晴らしいのは、相手の目を見れない⇒ひょっとこの面を被った後で訓練⇒対戦相手の顔に新堂が落書きして恐怖を克服⇒気迫を尊敬していた醍醐を侮辱していた相手への怒りから闘争心を湧き立たせるなど、徐々に、着実に前へ進む成長を描いていることです。

柔道を使った決闘演出

 柔道という一対一の戦いを描き、大量の因縁をトッピングして非常に燃える演出がされています。三四郎と、因縁から三四郎を完膚なきまでに叩きのめそうと意気込む醍醐との対決、手段を選ばず勝利を得る第十三柔道部顧問、鮫島に心酔する竜野と父親への反発から極端柔道部に入部し、竜野と激突する鮫島ハルとの死闘、功太郎と伊賀の再戦など、絶対に負けられない戦いのてんこ盛りです。

シュールなギャグ演出

 カマドウマを選手として起用し、あえなく絶命して敗北、ぎっくり腰で敗北など、団体戦で貴重な勝ち星をごみのように捨てていくシュールなギャグ演出がこれでもかというほどぶち込まれています。

 同じマガジンだからか、千葉徹也さん著作のあしたのジョーにおける超有名なポーズ「真っ白な灰に」は3回以上繰り返されているなど、大丈夫なのかと不安になります(コマ枠外に「千葉先生、ごめんなさい」という謝罪文が書いてあるところに、そこはかとなく時代を感じます)。

 古畑任三郎的演出(物語開始前の語り、犯人側からの視点で開始、回答前の引き)をするなど、やらかし具合が留まることを知りません。

 登場人物

 徹頭徹尾ふざけながらも、義理堅く、三四郎の背中を押す功太郎、気弱ながらも、目の前の困難に立ち向かう三四郎を始め、気持ちの良い魅力的なキャラクターが多数登場します。

 旧シリーズを含め相当数のキャラクターが登場するのですが、物語を読み終わるころでも、だれがどういう役割を果たしたのかは、大体覚えていると思います。それほど絵的・キャラ的な書き分けができています。

 終わりに

 非常に古い作品ですが、今の時代でも通じる普遍的なテーマの格闘マンガです。ブックオフなどで販売していれば、間違いなく100円コーナーなので、ぜひ手に取ってみることをお勧めいたします。

 それでは、また!

  

ABOUT ME
榊原 豪
榊原 豪(さかきばら ごう)です。都内在住で、主にマンガ、映画、小説、アニメ等のエンターテイメントの情報を発信していきます。 楽しいこと、面白いことを探すのが好きですし、「何を『面白い』というのか?」という考察なども結構好きです。 よろしくお願いします。