こんにちは、榊原です。今日は本の紹介です。斉藤友彦さん著作の「新聞記者がネット記事をバズらせるために考えたこと」についてご紹介します。
概要
タイトルの通りですw。新聞記事の書き方に染まりまくった著者が、ネット記事を作成するにあたり、どうすればPVを稼げるのか、新聞記事とネット記事の何が違うのかを分析した一冊になります。
面白い点について
新聞記事のクセに対する批判的視点
新聞記事は、全体像をリード文で伝える、一文字でも文章を削ることに注力するために2回目の単語は「同〇〇」と略すなど、独特のクセがあります。
ネット記事の作成をきっかけに、多くの人は新聞記事を読みにくいと考え、自分たちが当然と考えていた記事の作成手法に批判的な視点を向けるところが面白いです。
リード文に概要が書いてあるのであれば、それ以降は読まなくてもいいと感じたという身も蓋もない意見は笑ってしまいました。
「読まれる記事」への分析
①読者への共感②時系列順での語り口③指示語、接続詞を丁寧になど、どうすれば読まれるかを細かく分析しています。
週刊誌を参考に仮説を立て、作成した記事を若い人にみてもらって感想を聞き、「何が読みやすいのか」「読みにくい点はどこか」を丁寧に追求しているので、なるほどと頷けました。
この分析は、文章が読まれない、最後まで読んでくれないという悩みを持った方に一読の価値ありです。
テンプレへの批判
震災に関する記事を例に、ニュース原稿や記事の流れ、締め方が、大体過去の記事と同じような表現をしていると批判しています。たしかに、「震災から〇年」のような記事って、作る側からすると大体同じになりそうですよね。
新聞では、オリジナリティ溢れる文章校正や情景描写を期待されてはいませんが、それでも手抜きのテンプレ記事に苦言を呈する作者にプロ意識を感じました。
明日は3月11日ですが、「前を向く」という締めの記事は果たしてあるのでしょうか(挙げられたテンプレの一つ)。
終わりに
伝統的な手法による新聞記事の読みにくさを相当に批判しているので、池上彰さんがこの本を読んだら、どういう感想を抱くのか気になりました。たしか新聞を複数社購読して比較するほどの新聞推しだったはずですが。
こういう感じで、名作と呼ばれる文学のクセを批判的な視点で語る本とか出ると面白いかもしれませんね。個人的には、「カラマーゾフの兄弟」とか、一つのセリフの文章量が多すぎて、名作認定されないと絶対に読まれない作品筆頭だと思うんですけど。