記者・レポーター『池上彰』とは?書籍「総決算 ジャーナリストの50年」を読んで

 こんにちは、榊原です。今日は書籍の紹介と感想です。池上彰さん著作の「総決算 ジャーナリストの50年」について書き散らします。

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概要

 池上さんがNHKに入社してから退社するまでのことを書いた一冊となります。テレビ番組「そうだったのか!池上彰の学べるニュース」をはじめとするフリーになってからの話はほぼありません。警察周りでの成功や失敗、急にレポーターに異動となってからの苦労など、様々なエピソードで構成されています。

本作の特徴について

 特徴がないのが特徴といえるかもしれません。エピソードの大部分は、今までの書籍に書いてあるものですが、時系列順に整理され、過去に書いたものよりも短い文章でまとめたり、膨らませたりしてメリハリをつけています。

 また、本文中にも言及されていますが、これから記者になろうと思う人たちについて、記者という仕事の魅力(あるいは苦労)を知らせるという趣旨の本になっています。

池上さんについて

 池上さんはわかりやすい解説と文章で広く知られて、穏やかな人柄から、10年ほど前は理想の男性上司の上位にランクインしていました。(こういう人を上司にもつと、『成長する』か『潰れる』かの2択を迫られるように思いますが)。

 記者として、夜討ち朝駆けを行う忍耐力、アナウンサーという今までと全く畑違いのところで生き抜く粘り強さ、果ては子供に対して日本銀行の特殊性や原子力発電所の仕組みを伝える創意工夫。持ち前の「わかりやすい説明」は決して一朝一夕で獲得したものではなく、不断の努力の賜物ということが本作からひしひしと感じます。

 先日ご紹介した「なぜ働いていると本が読めないのか」で提言していた『半身の生き方(仕事にも趣味にも注力する)』からは池上さんみたいな人は出てこないと思うんですよねぇ。就業時間+アルファくらいでこんな領域にたどり着けたらびっくりですよ。

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 仕事=生きがいと直結していた『昭和のジャーナリスト』なのでしょう。働くことの価値が疑問視されている令和からこういう人が出てくるのでしょうか……。

最後に

 ジャーナリストとしての総決算、というよりもNHK職員としての総決算であると感じました。新規で語られるエピソードもないわけではありませんが、目新しさは感じられません。正直、今までの著作を読んでいるのであれば斜め読みでもよいように思います。

 今まで池上彰という人物について知らなかった方にのみお勧めいたします。記者という職業に興味のある方も一読の価値がありますが、池上さんの時代と現在では就労環境や業務内容がだいぶ違う可能性がありますので、きちんと調べましょう(そもそも、そこを調べない人に記者の適性があるとは思えませんが)。

  

ABOUT ME
榊原 豪
榊原 豪(さかきばら ごう)です。都内在住で、主にマンガ、映画、小説、アニメ等のエンターテイメントの情報を発信していきます。 楽しいこと、面白いことを探すのが好きですし、「何を『面白い』というのか?」という考察なども結構好きです。 よろしくお願いします。