言いたいことはあるけれど、読後のスッキリ感は最高 小説「名探偵のはらわた」の紹介

 こんにちは、榊原です。久しぶりに更新します。放置しすぎなので、これからは1週間に二回くらい更新していきたいと思います。ということで、一発目は「名探偵のはらわた」です。

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「名探偵シリーズについて」

 この小説は「名探偵の〇〇」第一作目となり、続巻「名探偵のいけにえ」が既に発売済みです。名探偵のいけにえは独立した話となっているので、今作を読まなくても十分楽しめますが、今作を読んでいるとアッと驚く仕掛けがありますので、ぜひご覧ください。

あらすじ等について

 悪夢が甦る――。日本犯罪史に残る最凶殺人鬼たちが、また殺戮を繰り返し始めたら。新たな悲劇を止められるのはそう、名探偵だけ! 善悪を超越した推理の力を武器に、「七人の鬼」の正体を暴き、世界から滅ぼすべし! 美しい奇想と端正な論理そして破格の感動。覚醒した鬼才が贈る、豪華絢爛な三重奏。このカタルシスは癖になる!(公式ホームページより引用)

 ……公式ホームページからの引用ですが、内容がサッパリわからないですね。基本的には名探偵とその助手「原田 亘(はらだ わたる)」が現代に蘇った過去の凄惨な殺人を起こした犯人を追う流れとなっています。

 「このミステリーがすごい!」で2位に選出された名探偵のいけにえは本格的な推理物ですが、本作は多分にオカルト要素が入っています。正直、同じシリーズなのに、世界勘違い過ぎないか?と思わないでもないです。

本作の見どころ

 ①主人公の成長譚

 本作の一番の見どころです。冴えない青年の原田が、名探偵と共に数々の事件を乗り越え、人間的に大きな成長を遂げるのが気持ちよく描かれています。

 また、メンター的存在の「浦野灸」との師弟関係も見どころです。「亘君、君は真実を語るべきだ」という言葉から始まった関係の変化や原田の推理のきっかけになるシーンは、胸が熱くなりました。

 ②伏線回収

 続巻の「名探偵のいけにえ」もそうですが、何気ない言葉、仕草がのちに重大な意味を持ってくるシーンが随所に見られます。正直、推理パートはそんなに目を引くものはなかったのですが(僕は名探偵コナンとかでも推理部分は読み飛ばしています)、こういった物語的な伏線は見ていて楽しいですね。

本作のイマイチなところ

 前述のとおり、有名な殺人事件の犯人が蘇って凶行を始めるという筋なので、結構なオカルト要素が盛り込まれています。しかも、乗り移った亡霊は殺さないといけないということで、主人公たちは普通に犯人を殺したりします。

 この辺のリアリティーラインが合わないという人は結構いるかと思います。正直、過去の連続殺人事件とかもそんなに興味はなかったので(津ヶ山事件くらいは知ってましたが)、そのあたりの説明も、読むのが面倒でした。 

最後に

 設定やストーリー展開は、首をひねる部分が散見されますが、伏線回収、主人公の成長物語としては非常に上がる部分のある一作です。

 単体作品としては微妙な本作ですが、続巻の名探偵のいけにえのラストで強烈なカタルシスを与えてくれるので、確実に呼んでおくべき作品です。

それでは、また!

ABOUT ME
榊原 豪
榊原 豪(さかきばら ごう)です。都内在住で、主にマンガ、映画、小説、アニメ等のエンターテイメントの情報を発信していきます。 楽しいこと、面白いことを探すのが好きですし、「何を『面白い』というのか?」という考察なども結構好きです。 よろしくお願いします。