こんにちは、榊原です。今日は、書籍の紹介です。「レーエンデ国物語 月と太陽」についてご紹介します。
レーエンデ国物語について
多崎礼さん著作のファンタジー小説です。架空の地、レーエンデを舞台に、支配から逃れて自由をつかみ取ろうとする者たちの物語が描かれます。
本作は、以前紹介したレーエンデ国物語に続く2巻です。このシリーズ、2024年12月現在で4巻が発売されていますが、背表紙にナンバリングがありません。
後ほど詳しく紹介しますが、前作とは舞台こそ同じですが、時代も主役も異なります。それぞれが個別の物語ということでナンバリングをつけなかったのでしょうか。
本屋の在庫次第では、うっかり次の巻を買ってしまいかねないので、見やすいところにナンバーを振ってもらいたいところです。
月と太陽について
本作は怪力無双でありながら、女性らしさにコンプレックスを抱く少女「テッサ」と一夜にして家族と自分の名を失った名家の少年「ルチアーノ」の出会いと、彼らが巻き込まれる戦争の物語です。
前作が少数のキャラクターを中心にしたこじんまりな話だったのに対し、今回は大勢の人を巻き込み、革命を望む戦いの中で命を落とすハード路線でした。
前作同様のボーイミーツガールの側面もなくはないのですが、それを覆う血なまぐさい展開となります。結構思い切ってると感じました。
ストーリーについて
前作ラストの時点で、このシリーズは多くの非業の死の先に勝ち取るレーエンデ解放の物語であることを明かされていますし、今作の導入で、ルチアーノが後に「残虐王」と呼ばれる存在であると示されます。
そのため、単なる力自慢だったテッサが英雄として頭角を現す様子や、そんなテッサを支えるために策略を張り巡らすルチアーノは見ていて楽しいのですが、不穏な影を感じながら読み進めていくことになります。
理不尽に対して憤り、力を尽くして、より良い未来を勝ち取ろうとする彼らの姿にニコニコしていると、絶望の影が忍び寄ってくるので、「この本、レーエンデ国物語だっけなぁ」とページをめくる手が重くなります。このシリーズ、気分のアップダウンが本当に大きいです。
最後まで読み切ると、サブタイトルの「月と太陽」の意味が実感できて溜息をつきます。後味は、エスプレッソコーヒーくらい苦いものとなっていました(笑)。
最後に
前作より話にメリハリがあり、話にグイグイ引き込まれました。巻ごとにキャラクターが変わるので、すぐに次の巻を読みたいとは思いませんが、言い方を変えれば、一つの物語を読み切った後の満足感が高いです。
希望にあふれた英雄と、彼女を支えた少年の行きつく先を、ぜひお楽しみください。
それでは、また!