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良作な群像劇「ブラック・ラグーン 罪深き魔術師の哀歌」の紹介 

 こんにちは、榊原です。今日は、本の紹介です。先日ご紹介したブラックラグーンのノベライズ第2段「ブラックラグーン 罪深き魔術師の哀歌(これで『ウィザードのバラッド』と読める人はいるのでしょうか?)」をご紹介します。

 ノベライズ第1段の紹介

目次

あらすじ

 暴力協会のシスターにして、CIAのエージェントであるエダは、上司より「ペルセフォネ」作戦を遂行するよう命令を受ける。

 ペルセフォネ作戦とは、アメリカの富豪の娘「トリシア・オサリバン」を誘拐し、富豪が友誼を持つマフィアとの関係を断たせるというものだった。

 命令を遂行するため、エダがコードネーム「魔術師(ウィザード)」との接触のために待ち合わせ場所である教会へ赴くと、トリシアを連れて現れた人物は旧知のロットンだったが……。

ストーリー

①全体的な感想について

 前回が、ゲストキャラの物語を展開しつつ、原作からのキャラを掘り下げるノベライズとして完成度が高い作品でしたが、今回は何を思ったのか、複数の人物からの視点からトリシアとロットンを巡る事件を描くものとなっています。

 時間軸としては、ラプレスのメイド事件の後であるため、9巻と10巻の間です。この時、原作が複数年にわたって発刊されないとは予想していなかったことでしょう。

 複数の視点を用いることによって、原作のキャラクターの心情をより掘り下げて描いているところが面白いですが(特にバラライカと張のロックに対する評価がいい!)、如何せん視点がカチカチ切り替わるので落ち着かないです。

 この作品の主軸を「ロットン」というスカした妄言めいた発言を連発する男にしているにもかかわらず、キャラクターの特性を生かした上で、キッチリ物語を終わらせているのは、凄いと思います。

②群像劇スタイルでの魅力について

 多角的な視点から事件を見ることによって、どういう思惑で、何が起きたかを知ることができるのは、唯一読者のみと言うのは面白いと思います。

 エダは、事のほとんど最初から最後まで関わってはいるものの、ロットンの行動原理については全く知らないまま物語が終わりますし、ラグーン商会の面々、張、バラライカも事件の全体像を把握することはないです。

 視点がしょっちゅう動くのは好みではありませんが、巧みな物語の描き方だと思います。

登場人物(ゲスト)について

 ゲストキャラクターはアメリカの富豪の娘トリシアと中国マフィアの構成員「ルタオ」の2人。トリシアの方は、物語の中心にいることもあり、キャラが立っていると思いますが、前回のヘロイン中毒にて凄腕のスナイパー、スタニラフ伍長には及ばない印象。

 ルタオの方は、古いタイプの世界に生きているマフィア、という印象しかないですねぇ。ソーヤー(チェーンソーで戦う掃除屋)の異常性や潜入していたシャドー・ファルコンを際立たせるための捨てキャラとはいえ、ちょっと残念でした。

最後に

 前作ほどではありませんが、原作の雰囲気を活かしながらサブキャラの魅力を掘り下げる良作だと思います。

 前作が完全にシリアスな路線だったのに対し、今作はギャグが多めです。僕は前作の方が断然好きですが、この辺は好みの問題かもしれません。

 原作ファンであれば、勝手間違いなしです。原作13巻がでるまで、おそらくは数年かかりますので(笑)、その間に一読いただければと思います。

 それでは、また!

ABOUT ME
榊原 豪
榊原 豪(さかきばら ごう)です。都内在住で、主にマンガ、映画、小説、アニメ等のエンターテイメントの情報を発信していきます。 楽しいこと、面白いことを探すのが好きですし、「何を『面白い』というのか?」という考察なども結構好きです。 よろしくお願いします。