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緊迫感はないものの、見て損なしの良作!「劇場版ソード・アート・オンライン・プログレッシブ-星無き夜のアリア-」について

 こんにちは、榊原です。今日は映画の紹介です。10月30日より上映開始の「劇場版ソード・アート・オンライン・プログレッシブ-星無き夜のアリア-」についてご紹介します。

 この記事は、本作について興味があり、鑑賞しようか検討している人、予備知識がなくても楽しめるか知りたい人に向けて書いています。

 基本的にネタバレはしませんが、紹介の関係上、原作1巻の概要、予告編で明かされる内容程度は降れますので、ご了承ください。

目次

 はじめに

 結論だけ先に書くと、ソード・アート・オンラインという作品について全く知らない人も、ファンも楽しめる良作になっていると思います。ファンなら70点、新規の人なら80点くらいの出来にはなっているのではないでしょうか。少なくとも、お金を払って損したという出来栄えではないです。

 なお、僕は原作小説1~6巻まで、アニメは第一期1話と後半、2期全て、3期5話くらいまで、映画版は視聴済み。原作プログレッシブ(後述)は全くの未読です。かなり中途半端です。

 原作の刊行期間が長いからか、劇場の客層は10代から50代くらいまで様々で、大きめの箱でしたが7割程度は埋まっていました。この辺は、人気長寿シリーズの実力を感じます。

 SAOとは?

 ソード・アート・オンライン(以下SAO)は2009年に電撃文庫より発刊されたライトノベルで、現在26巻、今回の劇場版の原作となるプログレッシブは8巻まで刊行されています。

 1巻は、題名でもあるソード・アート・オンラインというゲームをプレイするために、ゲーム機「ナーヴギア」を使用してゲーム世界に入り込んだ主人公たちがゲーム世界に閉じ込められ、脱出するために100層までの踏破を目指して奮闘する物語となっています。

 街から出れば、モンスターが襲い掛かってくるうえに、ゲームオーバーすると現実世界でゲーム機に脳を焼かれて死亡するので、否が応でも緊張感は高まります。

 話の仕組み上、SAO編後は、命を懸けることは少なくなってくるので(こんな大事件が頻繁に発生していたら大人は何をやっているのかという話になる)、この話が一番緊張感があったように思います。

 プログレッシブとは?

 映画では、SAO編で省略されていた部分について、ヒロインのアスナ視点で語られる物語でした。原作だと、100層までの内、70層まで省略されているので、(作者の体力とアイディアが持てば)いくらでもかける気がします。

 ただ、本編とリンクしていると考えると、ちょいちょいオカしい部分はあるので、スピンオフと考えたほうがいいのかもしれません。 

 あらすじ

これは、《閃光》と《黒の剣士》が、その名で呼ばれる前の物語――

あの日、《ナーヴギア》を偶然被ってしまった《結城明日奈》は、
本来ネットゲームとは無縁に生きる中学三年生の少女だった。

ゲームマスターは告げた。
《これはゲームであっても遊びではない。》
ゲームの中での死は、そのまま現実の死につながっている。

それを聞いた全プレイヤーが混乱し、ゲーム内は阿鼻叫喚が渦巻いた。
そのうちの一人であったアスナだが、
彼女は世界のルールも分からないまま頂の見えない鋼鉄の浮遊城《アインクラッド》の攻略へと踏み出す。

死と隣り合わせの世界を生き抜く中で、アスナに訪れる運命的な《出会い》。
そして、《別れ》――。

《目の前の現実》に翻弄されるが、懸命に戦う彼女の前に現れたのは、孤高の剣士・キリトだった――。

(公式ホームページより)

 本作の魅力

 本作の魅力は、大きく分けて3つです。

  •  ①キャラクターの成長
  •  ②映画クオリティで描かれる戦闘シーン
  •  ③ゲームプレイの感覚

 ①キャラクターの成長

 本作の主人公であるアスナは、SAOは勿論、普通のゲームも習熟していないため、友人である兎沢深澄(とざわ みすみ)にレクチャーを受けるという作りになっています。

 そのため、最初は基本的な動作すら満足に行えなかったのが、徐々に修練を重ねて習熟し、深澄とタッグを組んで冒険するまでに成長するという姿が丁寧に描かれています。

 この辺は、(僕が見た)原作でもアニメ版でも描かれていなかったので、非常に新鮮でした。

 また、最初は事態に翻弄されるだけだったアスナが思い詰めていきながらも、他の登場人物とのやり取りで心境が変わり、精神的に変化(成長)していくのも魅力だと思います。


 ②映画クオリティで描かれる戦闘シーン

 アニメ版でも戦闘シーンはかなり丁寧に描かれていましたが、やはり劇場版では一際力が入っています。

 ゲームシステムにより、アスナの動きが補助されているという演出や、敵の攻撃を躱す際の舞うような動き、レイピアを使用した素早い剣撃などは見ごたえがあり、ここだけでも劇場版と銘打っている異議があると思います。

 僕は109シネマズのIMAXで鑑賞しましたが、音響も画面の鮮やかさも素晴らしいものがありました。本作鑑賞の際は、IMAXやドルビー・アトモスなど、設備の整っている劇場でご覧することをお勧めします。

 ③ゲームプレイの感覚

 本作では、アスナと深澄が共に街やフィールドを歩き、戦闘し、ダンジョンを攻略する場面が非常に丁寧に描かれています。

 この辺りは、鑑賞側もRPGをいっしょにやっているような楽しさがあります。昔友達と一緒にRPGをやりながら盛り上がった記憶が甦るのではないでしょうか。

 不可避の残念ポイント

 本作の最大の問題点って、SAO編を掘り下げているだけあって、原作1巻の読了者またはアニメ版の鑑賞者には全員展開の予想がついてしまうところだと思います。

 このシリーズは、今後も継続するようなので、新しいキャラクターやエピソードが物語られるのだとは思いますが、この物語自体の結末を知ってしまっていると、ハラハラする感覚が味わえないのは、残念なポイントですが、これは構造上仕方ないような気もします。

 また、アスナからの視点という新規部分ではありますが、アニメ版1話で聞いた茅場先生のチュートリアルをもう一回見る羽目になるので、この辺も気になる人はいるかもしれません。

 まとめ

 過去作に劇場版効果をトッピングして既視感ありの新しい物語にした良作です。11月5日(土)からは、マーベルの新作「エターナルズ」が上映開始される関係で、IMAX等の設備で見られる期間は短いかもしれませんので、ぜひお早めにご鑑賞ください!

 それでは、また!

ABOUT ME
榊原 豪
榊原 豪(さかきばら ごう)です。都内在住で、主にマンガ、映画、小説、アニメ等のエンターテイメントの情報を発信していきます。 楽しいこと、面白いことを探すのが好きですし、「何を『面白い』というのか?」という考察なども結構好きです。 よろしくお願いします。