こんにちは。榊原です。今日は、本の紹介です。「「感情」から書く脚本術~心を奪って釘付けにする物語の書き方~」についてご紹介します。
物語を創るためのおすすめ教材!
「感情」から書く脚本術
平易な文章
映画を具体例にした丁寧な説明
物語を創造するための普遍的な話
わかりやすさ
面白さ
役立ち度
おすすめ度
目次
この本を読んだきっかけ
僕は趣味として小説を書いているのですが、ミステリー作家の七尾与史さんが、作家志望者を対象としたYou tubeチャンネルの動画内で、「小説のハウツー本よりも映画のシナリオのハウツー本の方が実用的かもしれない」旨の発言を聞いたことがきっかけです。
七尾さんの動画内では具体的なタイトルが出ていなかったので、いくつか評判の良いものを立ち読みして、一番面白かったのがこの本でした。
ちなみに、七尾さんの最新作である「全裸刑事チャーリー」については、先日感想を書いたため、読んでいただけると嬉しいです。
物語を作るための教材として
本作は、タイトル通り脚本の作り方の本ではありますが、脚本に特化しているわけではなく、物語を作るための普遍的な内容が盛りだくさんになっています。
どういう場面を設定すれば読み手に緊張感を与えられるのか、どうすればキャラクターに同情させられるのかなど、読者の感情を誘導するための手法について、具体的に記述されています。
そのため、映画の脚本に限らず、マンガ、小説、ゲームなど、作ろうとしているものがが物語であるのならば、この本はとても参考になると思います。
映画を用いた具体例
キャラクターの設定や感動させるための手法の具体例として、数多くの映画に言及します。カサブランカ、チャイナタウン、羊たちの沈黙、ブレードランナーなど、有名なものが例に多く挙げられています。
例の挙げ方としては、その作品の脚本を引用した上で、文章の狙い、キャラクターたちの心理状態、読み手が抱くであろう感情などを解説していきます。
脚本術というタイトルなので当然と言えば当然ですが、一定程度映画を見ている、またはその映画のあらすじ程度知っていると、全く知らないよりも具体例として想起しやすいと思います。
解説がとても丁寧であるため、その映画を知らなかったとして問題にはならないですが、終盤のネタバレをしていることもあるので、これから見ようと思っている作品がある場合には注意の必要があります。
また、本筋ではありませんけど、優れた脚本として「チャイナタウン」は有名のようです。「シド・フィールドの脚本術」という本でも取り上げられていました。後味が悪過ぎるので、あんまり好きな映画ではないのですが。
ネタ出しのための事例集として
後半には「お気に入りの口癖」「繰り返すことにより生まれる笑い」「話を逸らす」など、状況を類型的に設定したうえで、その例となる映画の内容を引用してあり、自分が脚本を書くとき下敷きとして使えそうな事例集が掲載されています。この辺りは、書いている途中で詰まった時にぱらぱらと見ると気分転換兼ネタ探しとして楽しいです。
不満点
大体600グラムと結構重いです。僕は休日にノートパソコンと一緒に持ち歩くことがありましたが、肩が痛くなるので、家で作業するときに参照することにしました。
分冊してくれて構わないので、もう少し小さくしてくれるとありがたいです。電子書籍でも販売はしていますが、パッと見たい個所を参照するときは、紙の検索性の方が使いやすいです。
終わりに
脚本は勿論、小説、マンガ、ゲーム等の創作をしている人、あるいは創作してみたいと思っている人は一読して間違いない本です。ボリュームは約400頁ほどと分量はありますが、役に立つ一冊だと思います。
それでは、また!