アニメ

灰と青春の物語、開幕 「ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》」の紹介

 こんにちは、榊原です。今日は、本の紹介です。「ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》」についてご紹介します。

 この本は、こんな人がお勧めです。

  • ゴブリンスレイヤー本編が好きな人
  • ダーク・ファンタジーが好きな人 

目次

ゴブリンスレイヤーとは?

 2016年から刊行された、現在15巻が出版されているダーク・ファンタジーです。コミック化、アニメ化、映画化と幅広く進出しています。

 ゴブリンスレイヤーという名前の通り、ドラゴンやオーク等、様々なモンスターが出没する世界において、ただゴブリンだけを討伐することに情熱を燃やす男の物語です。

 狭い洞窟の中で長剣を振り回すと壁や天井にぶつかる、ゴブリンと言えども刃物を持たれて囲まれると危うい等のリアリティー溢れる場面や、それに対抗するための工夫が特徴的かと思います。

 また、キャラクターの名前が一切出ず、「ゴブリンスレイヤー」をはじめ、旅の中も「女神官」「妖精弓手(エルフ)」「鉱人導士(ドワーフ)」など、職業名や種族名などで書き分けています。

 名前有りの書き方に慣れているせいか、若干戸惑いますが、この表記が独特の世界観の雰囲気を出すのに一役買っています。

本作について

 概要

 本編より前の時代で、後に英雄と称えられる人間たちが、どのような偉業を成し遂げたかを語るものとなっています。

 作風や名称などは、本編と同様ですが、本作は本編と異なり、地の文が二人称です。

二人称について

 通常小説は主人公の視点で語られる一人称(例:俺は~した)、神の視点で語られる三人称(例:田中は〇〇と思った)のどちらかです。

 しかし、本作は「君は~した」という形で、神の視点から、主人公である読み手の行動を語っています。この書き方が全編通しで行われるため、若干好みが分かれるところだと思います。

 慣れるまでに少し時間を要しますが、危険が渦巻くダンジョン攻略やモンスターや他のパーティーとの戦闘時に臨場感が増す作りになっています。

 小説の人称については詳しくないので、理解が間違っていたらすみません(汗)。

あらすじ(公式ホームページより)

 ――始まりが何であったのか、もはや知る者はいない。 いずれにせよ《死》が大陸中へと溢れ出したのは、そう遠くないある日のことだった。

 時の王が御触れを出した。『《死》の源を突き止め、これを封じよ』。 大陸中の勇士たちが立ち上がり、そしてその尽くが《死》に飲み込まれて屍を晒した。

  その中で、ある一党の言葉だけが残る。 『北の最果てに、《死》の口がある』。 誰がそれを見出したのか、もはや知る者はいない。その冒険者も《死》の前に消えた。

 《死の迷宮(ダンジョン・オブ・ザ・デッド)》。

  曰く――迷宮からは無尽蔵に怪物がわき出す。

  曰く――迷宮には怪物どもと共に無限とも思える富が眠っている。

  曰く――迷宮の最奥には魔神の王が存在している。

 死神の顎そのものである奈落の淵へ人々は集い、いつしか城塞都市が生まれた。 冒険者たちは城塞都市で仲間を募り、迷宮へ挑み、戦い、財貨を得、時として死ぬ。

  君は冒険者だ。 悪名高き《死の迷宮》の噂を聞きつけ、その最深部へ挑むべく、この城塞都市を訪れた。

魅力

ストーリー

 迷宮の最果てにいるとされる「死」の源を討ち取るためにダンジョンを攻略するという、非常にシンプルでわかりやすい筋書きです。

 そのため、全てはいかにダンジョンを攻略するかという点に集中しているため、何が争われているかということで不明瞭な点はないといっていいです。

 先に上げた二人称の効果なのか、自分がリーダーとして仲間と共に『冒険』をしているという気分になれる緊張感やワクワク感に溢れています。

 ただ一つのダンジョンを攻略するという話の都合上、そこまで話に大幅な動きはないのですが、前回までできなかったことが今回はできるという、「トルネコの不思議なダンジョン」「風来のシレン」といったゲームのような面白さがあります。

 登場人物

 ゴブリンスレイヤー本編と同様、職業等で名称分けしています。これが、各キャラクターの個性を薄味にしているかと言うとそうでもありません。

 リーダーとしての責任を全うしつつ、「死」の源へ挑む、未熟な主人公(「君」)

 主人公の保護者を自認する、柔らかな雰囲気のある従姉(自称「お姉ちゃん」であるが、主人公は度々「はとこ」と訂正)。

 勝気でからかうような口調が多い女戦士、ムードメーカーの半森人の斥候、寡黙で頼りがいのある蟲人僧侶と個性豊かな面々で冒険が展開されます。

 また、仲間の一人として登場する内気ながらも実力が確かな女司教は、ゴブリンスレイヤー本編でも登場するため、本編を読んでいると味わい深い描写が各所にあります。

 ダンジョンに潜って、戦闘し、宝箱を開けて、戻るというシンプルな展開であればこそ、仲間との軽口や冒険後の打ち上げなどの細かい描写が冒険の雰囲気を盛り上げてくれます。

 終わりに

 本編が、ゴブリンという最弱と認識されているモンスターに特化した物語に対し、本作では「死」という世界の存亡にかかわる敵を相手にするということで、違った魅力の物語となっています。

 人気作のスピンオフのわりに、発行されているレーベルが異なっているので、ひょっとしたら未見の方が多いかもしれませんが、本編ファンなら必見の物語となっています。

 是非、パーティーのリーダーとして、「死」に挑む物語をお楽しみください。

 それでは、また!

ABOUT ME
榊原 豪
榊原 豪(さかきばら ごう)です。都内在住で、主にマンガ、映画、小説、アニメ等のエンターテイメントの情報を発信していきます。 楽しいこと、面白いことを探すのが好きですし、「何を『面白い』というのか?」という考察なども結構好きです。 よろしくお願いします。