最強に対する方策とは 書籍「異修羅 Ⅳ光陰英雄刑」

 こんにちは、榊原です。今日は本の紹介です。「異修羅 Ⅳ光陰英雄刑」についてご紹介します。I~Ⅲについては、別のページで紹介していますので、そちらをご参照ください。なお、今回の紹介はⅢまでの内容をネタバレしていますので、ご注意ください。

 Ⅰの紹介 Ⅱの紹介 Ⅲの紹介

https://www.youtube.com/watch?v=HOCs4RAjY0k

目次

 あらすじ

 16人の英雄からたった一人の勇者を選抜する六合上覧は続く。第三試合「柳の剣のソウジロウ」対「移り気なオゾネズマ」、第四試合「世界詞のキア」対「絶対なるロスクレイ」、第五試合「通り禍のクゼ」対「魔法のツー」。

 必勝を期して用意した策、理不尽とすら言える能力を惜しげもなく披露して参加者はぶつかり合う。一方、英雄を擁立した者たちも、六合上覧の裏で謀を企てる。魔王無き世界は、どこへ向かうのだろうか?

 ストーリー

 基本的に今回は、六合上覧の一回戦の続き+盤外戦術という感じです。今までは、各キャラクターの戦う目的や経緯などの説明が長かった部分があるので、この作品の目玉である異能のぶつかり合いが描かれている今作は見ていて楽しいです。

 「呟くだけで世界が変わる」、「自分を殺そうとするものを自動的に迎撃して殺す」等という反則級の能力を持っていますが、程度の差は相当にあるので、弱い方がどう強者の能力を攻略していくかが肝になっています。この辺は結構パズル的な要素があり、攻略方法について「そう来たか!」と唸らされることも多いです。

 また、参加者16人の他にも六合上覧に乗じて自らの目的を達成しようとする者が暗躍しているため、登場人物はかなり多いですが、結構うまく書き分けられているように思います(それでもどういう人物で、何が目的であるかを覚えるのはかなりきついですが)。

 今作の最初にトーナメント表が参加者のビジュアル付きで用意してもらえるのはありがたいのですが、ついでに能力も一緒に書いてもらえると嬉しかったです。ページが割かれていないキャラクターは、「誰だっけ?」となることもしばしばありました。

 油断すると破綻しそうな能力を持つキャラクターを複数用意し、上手く処理して繋げているのは、本当にすごいと思います。このままの勢いを維持してもらいたいです。

登場人物(お気に入りのみ)

 ソウジロウ:異世界からの客人(まろうど)。相手の急所を知覚する能力と優れた身体能力を持つ

 第一巻の最初に登場するため、最後まで勝ち抜くのかな、と思いきや今作でかなりの窮地に追いやられます。相手の能力は絶大。突破する糸口もつかめない。

 もう死ぬしかないという絶体絶命の状況で呟かれる「見たぞ。オメェの命」というセリフはこの作品屈指の燃えポイントです。

 絶大なるロスクレイ:必勝を期すために対戦表を操作する、会場内の仲間より魔法の援護を受けるなど策を張り巡らせる。

 優雅な顔をしたイケメンですが、やっていることが結構必死過ぎてちょっと笑ってしまいました。対戦表をいじる際、「こいつはこうで、こうだから除外」というように、自分が勝てそうな対戦相手を絞り込む過程が論理的で面白いです。

 対戦相手は「赤い紙箋のエレア」から送り込まれた少女「世界詞のキア」。呟くだけで世界が変動し、思うだけで自身への鉄壁の防御が完成するという、この作品において最大級の反則能力を持っています。この子と正面切ってぶつかるのは本当に無理ゲーです。

 ロスクレイ自体は、エグイ手段は使いますが、常識から逸脱したものを持っていないため、どう立ち回るのか、勝利の方策は見つけられるのか、手に汗を握りながら楽しく読ませてもらいました。

 クゼ:クゼにしか見えない天使「ナスティーク」の加護で、クゼを殺そうとする者は瞬時に殺される。

 自分を望んでいない殺戮を繰り返してきたクゼが、殺人を忌避するツーとどういう戦いとなるのかが見所です。他の試合とはまた趣向の違う、信念のぶつけ合いが描かれていてよかったです。

 クゼとツーのぶつかり合いについては、ちょっと書くとネタバレになってしまうので、これくらいしか書けなくて残念です。

 最後に

 一巻丸々使って、2つしか対戦が進まない、と言うのはちょっとテンポが悪い気もしますが、各キャラの掘り下げや最強同士の激突が不満点を補って余りある魅力となっています。

 残念ながら12月23日現在において既刊は5巻までなので、いったん次で終わりのようです。2回戦まで行くのかちょっと怪しいです。

 それでは、また!

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ABOUT ME
榊原 豪
榊原 豪(さかきばら ごう)です。都内在住で、主にマンガ、映画、小説、アニメ等のエンターテイメントの情報を発信していきます。 楽しいこと、面白いことを探すのが好きですし、「何を『面白い』というのか?」という考察なども結構好きです。 よろしくお願いします。