こんにちは、榊原です。三宅香帆さん著作の『「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない(以下、本作)」を読みましたので、内容や感想を書いて行きます。
概要について
三宅さんが2023年に出版された『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』を改題して新書サイズにしたものとなります。出版して一年しか経っていないのに改題して再販するのは結構珍しいのではないでしょうか。
邪推するに、集英社から出版されている『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が売れまくっているので、同じ新書として出版して一儲けを考えているのでは。川崎の丸善では平積みされていて、かなりプッシュされていました。
『なぜ働いていると~』については、記事に書いたことがあるため、そちらをお読みいただけると嬉しいです。
ざっくりとした内容
「推し」という言葉を使っていますが、普遍的なコミュニケーション論です。相手に自分の好きを伝えるにはどうするか、を考えた時、前提知識がある者に対する伝え方、無い者への溝の埋め方、不特定多数に対する表現の注意方法などがわかりやすい文章で書いてあります。
仕事の話でもプライベートの話でも必要になるスキルなので、特に推しというものがない人であっても相当に有用な内容だと思います。池上彰さん著作の「伝える力」を今風にアップデートしたようなイメージです。
いいところについて
言語化の工夫に一見の価値あり
「感動した」「凄かった」で終わらず、何に感動して、何を凄いと感じたのか、自身の感情を深掘りして、他者の意見に影響される前に、自分の感想をメモしておくよう本作は勧めています。
これができれば、ブログやSNS等、他者に発信するときだけでなく、自分が後に見返すにもいいと思います。何度も見直した映画や舞台って、最初の感想とか覚えてないですからね。
技術に汎用性あり
上にも記載しましたが、本作はコミュニケーションの本です。自分が好きな点、嫌いな点を細分化して言語化し、相手に伝えたり、文章にする技術は年齢や立場を問わず有用です。
文章の推敲方法や話に興味のない相手に対する切り出し方など、具体的に記載しているので、すぐに実践できそうなくらいハードルを低くしてくれます。
凄くいいと感じたところ
本作の『誰かにけなされても、自分が変わっても、推しが変わってしまっても。自分の「好き」についての揺るぎない言語化があれば、自分の「好き」を信頼できるはずです』という言葉が胸を打ちました。
これは本当にその通りで、趣味嗜好が変わろうと、意見が変わろうとも、その時に感じた事実は絶対に覆せない。それを大事にすることはきっと自分の人生を豊かにしてくれることを教えてくれます。
終わりに
「なぜ働いていると~」に比べると、よく言えば普遍的、悪く言えばありきたりなテーマの本です。
読みながら、自分の好きな作品についてあれこれ考えて、自分の感情を深掘りしていくのが楽しい読み方だと思います。
それでは、また!