こんにちは、榊原です。今日は、本の紹介です。大森藤ノさん著作の「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ソードオラトリア」について紹介します。本編の紹介はこちらにあるので、お読みいただけたら嬉しいです。
ラストバトルの熱量はスピンオフ作品史上最高!
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ソード・オラトリア
最強パーティーの冒険
展開は結構重め
後付け感漂う序盤
ストーリー
キャラクター
ラストバトルの熱量
おすすめ度
目次
概要
昨日ご紹介した「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」のスピンオフ作品となります。現在12巻まで刊行され、本編と同様、アニメ化もされています。
本編の主人公ベル・クラネルの憧れの少女であるアイズ・ヴァレンシュタインを主軸に置き、彼女が所属する都市最強の一角「ロキ・ファミリア」の冒険を描いた作品です。
あらすじ
ロキ・ファミリアは、これまで未踏破であったダンジョン59階層へ遠征しており、50階層の安全地帯に到着した部隊は、冒険者依頼を果たすために、フィンたち幹部を中心とした小部隊が51階層を探索していた。
そこで出会った未知のモンスターとの遭遇によりパーティーは損害を受け、一度地上へ引き返すことになる。アイズは、撤退中にミノタウロスに襲われていた少年を救う。
それが、少年と少女の出会い、そして迷宮都市オラリオの存亡をかけた戦いの始まりとなった。
魅力
ストーリー
本作の最初の方は、本編でベルが活躍していた時、アイズは何をしていたのかという裏側を書くような物語となっています。
主な登場人物は人形めいた美貌を持つ剣士アイズ、陽気なアマゾネスの姉妹ティオナとティオネ、ぶっきらぼうな獣人の男ベート、真っすぐなエルフの少女レフィーアとなります。
アイズを始めとするほとんどの登場人物は、都市最強格の派閥の中心人物であり、本編の主人公であるベルよりも能力・経験共に上回っています。
そのため、本編のように成長を実感しながら冒険を進めていく面白さではなく、強大な力を遺憾なく発揮してボスクラスの敵にぶち当たっていく面白さが本作の大きな魅力となります。
アイズの視点
ベルが憧れるアイズは、寡黙な少女のため、ベル視点だと何を考えているかわからない部分がありましたが、合図を視点にした物語を作ることにより、アイズがベルに対してどういう感情を抱いていたか、それがどのように変わっていったかが分かりやすくなっています。
盛り上がり要素
アイズたちが遭遇した未知のモンスターとの出会いから、「エニュオ」と呼ばれる謎の人物により画策される都市の存亡にかかわる事件を本作では扱います。
取り戻せない過去や失ってしまった命など、結構重めのテーマを取り扱いながら物語を進め、各巻で張り巡らされた伏線や謎が回収されていくのは爽快です。
一応12巻で事件に対する決着がつきます。最後の戦いに挑む際の団長フィンの檄、全てを終わらせるために集結した冒険者たちの戦いに、否が応でも盛り上がります。
正直、話の規模といい戦闘描写といい、本編よりも盛り上がっているところがあるので、今後本編これを超える熱量を出せるのか不安になるレベルです。
キャラクター
ティオナとティオネ、ベートなど、本編ではあまり登場シーンがなかったキャラクターにスポットライトが当てられており、各キャラクターの背景が掘り下げられてします。彼らの過去のエピソード等をみることにより、本編での言動に納得するなど、スピンオフ作品ならではの面白さがあります。
特にベートについては、口が悪く、他の冒険者を見下して嘲笑するという、一見かなり嫌な奴なのですが、背景事情や彼からの視点で物語を描くことにより、その行動原理の理由が分かった時は膝を打ちます。
イマイチなところ
本編の裏側を描いている、と上述しましたが、本編での重なりもわかるように描いているため(ベルも登場します)、正直一度見た場面をもう一度見るということが何回かあります。
この重なりは、前半の方に結構顕著で、その事件がどういう結末を辿るかは、本編で知っているために既視感があり、若干だるいところがありますし、どう考えても後付け感が漂う場面がいくつか見られました。ここは致し方ないところかと思いますが、ちょっと残念です。
また、本編の登場が少ないキャラクターにスポットを当てるため当然ですが、あまり馴染みのないキャラクターたちの冒険への感情移入が最初は追いつかず、前半は微妙に感じました。
終わりに
最初こそ後付け感が漂う微妙な感じがありますが、各キャラクターが掘り下げられ、それぞれの背景が描かれて本作ならではの物語が始まると、話の規模の大きさやキャラの魅力が際立つ面白い作品になっています。
本編を読んだ人は間違いなく必見の出来ですので、ぜひご覧いただきたいと思います。逆に言えば、本作は単体で成立作品ではないので、本編未見の方は、まず本編からご覧いただくことを強くお勧めします。
それでは、また!