ゲーム

制作期間13年!? ゲーム「月姫 -A piece of blue glass moon-」について

 こんにちは、榊原です。今日はゲームの紹介です。PS4、ニンテンドースイッチで発売中(年齢制限有り)の「月姫 -A piece of blue glass moon-」をご紹介します。10月24日現在では、アマゾンなどでも購入できるようになりましたが、発売当初は売り切れが多く、手に入れられない人も多かったようです。

 この記事は、月姫をプレイしたことがなく興味を持った人に向けて書きました。公式ホームページ程度の内容は明かしますが、基本ネタバレ無しです。僕は、10年以上前に旧作をプレイ済みなので、旧作内の謎を全て知ってからのプレイとなります。

 結論だけ先に書きますと、楽しいところは楽しいですし、リメイクの意義があると思いますが製作期間と完成度が釣り合っていないです。

目次

 概要

 ①そもそも月姫って?

 同人から始まったTYPE-MOONが2000年に発売したビジュアルノベルです。テキストを読み進め、選択肢によって運命が分かれ、エンディングに到達するという先日紹介した「シロナガス島への帰還」と基本的には同じです。

 吸血鬼、直死の魔眼など、中二要素とボリュームのあるシナリオ、魅力的なキャラクターで爆発的に人気が出た作品です。

 発売元のTYPE-MOONはその後、FGOという携帯ゲームで知れ渡るので、こちらの方が知っている方は多いかもしれません。

 今回の作品は、デビュー作である月姫をシナリオの加筆、キャラクターデザインの変更、フルボイスなど、様々な追加要素を加えて発売したものです。 

 あらすじ(wikipediaより引用)

 物語の主人公である遠野志貴は、幼い頃に一度死にかけた後、「モノ」の壊れやすい部分を黒い線として捉えることのできる特別な眼「直死の魔眼」を持つようになった。その能力を持つ負担に苦しんでいたときに、偶然出会った女性からたしなめられ、その眼の力を封じる眼鏡を受け取ったおかげで、外見上、普通の少年として平凡な生活を送ることができた。

 しかし、子供の頃から預けられていた親戚の家から、実家に帰ることが決まった頃と時を同じくして起きる、全身の血液を抜かれて人が殺されていく連続猟奇殺人事件が、志貴の生活を非日常へと急激に変化させてゆくこととなる。

 発表から……

 本来2008年4月に開発開始を発表していたはずなのに、その後も発売日を設定することなく時間が経過し、ようやく2021年8月に発売されました。

 おそらく多くの方も同じ感想を持つと思いますが、いくら何でも長すぎです。しかも、新規ではなくリメイクなので、シナリオの大部分は同じですからね。13年は発売ゲーム機が変わるレベルです。

 後で詳しく言及しますが、この作品、完結していません。本来ヒロイン5人の物語があるはずなのですが、今作で楽しめるのは2人だけです。しかも、きっちりフルプライス。

 たぶん後に発売される奴は完全版という形のもので一本で出すのでしょう。今作を購入した人のために、若干値引きした追加シナリオだけも発売されるとは思いますが、13年の製作期間があってこの体たらくは、ちょっと擁護できる人はいないんじゃないでしょうか。

 僕の方は、今回買わないと完全版が何年後に発売されるか知れたものではなかったので買いましたが、どうかなーと思います。

 それでも、面白いものは面白い

 じゃあ、詰まらない?と聞かれれば、全くそんなことはありません。旧作と比べて格段の進化が随所にみられています。

 魅力①ビジュアル

 ビジュアルノベルはあまりやらなくなったので、他の作品との比較ができませんが、綺麗な絵なので、すんなり馴染める人は多いのではないでしょうか。

 リメイク部分について書きますと、デザインが圧倒的に向上しています。著作権の問題があるのでここには貼れませんが、「月姫 新旧 比較」とか出てきますので、興味があれば検索してみてください。

 特に顕著なのは、ヒロインの一人である「アルクェイド」です。旧作では絶世の美女という設定ではあるものの、デザインの関係で「え?こいつが?」という疑問があるものでした(旧作が好きな人ごめんなさい)。

 新作の方では、今風のデザインにアレンジされ、説得力のあるものになっていると思います。

 魅力②設定

 直視の魔眼から始まり、吸血鬼や、吸血鬼の対抗組織など、非常に独自の設定が多いので、SF小説やライトノベルが好きな人はハマるのではないでしょうか。

 逆に言うと、設定の解説で時間を使うので、「さっさと本筋に移って欲しい」と思う人はストレスかもしれません。リメイクに当たって、図解などでわかりやすく整理されているとは思いますが、それでも蘊蓄シーンはかなり長いです。

 魅力③シナリオ

 ひょんなことから殺人事件にかかわってしまった主人公が、変わりゆく日常に戸惑いながらも前に進む、とても魅力的なシナリオです。各ヒロインもそれぞれ個性があり、読んでいて感情移入できるようになっていると思います。

 ボリュームも多く、声を聴かずに一直線にクリアしたとしても、20~30時間はかかるのではないでしょうか。文章を読むスピードで大幅に変わるとは思いますが。

 特に最後の決戦は長く、あれを読み切った後で、「足りない」と思う人はいない気がします。一気に読み切ってしまおうと思って、寝不足になりました。確実に最終決戦は何日かに分けて読まないと集中力が無くなってくるレベルで長いです。

 また、随所に旧作からの改変が見られ、旧作をプレイしている人だからこそ驚く仕組みがありました。この辺は、20年くらい前のゲームをプレイしている人に向けているのかはわかりませんが、僕としては新しいものが見れて楽しかったです(その部分が下の不安にも繋がりますが)。

 問題点と不安

 一本で完結しない、というのは上で書いたとおりです。それ以上に、「これ、後半出るの?」という不安が強いです。

 リメイクは本来シナリオは出来上がっているはずなのですが、この作品、旧作には登場しない新キャラが登場する上に、そのキャラクターたちの真意や物語上の立ち位置があまり明かされないまま本作は終了します。

 つまり、思わせぶりな伏線だけ貼っておいて、どういう風に旧作のシナリオと絡めて真意を明かすかを製作者が考えていない恐れがあります(ドラえもんの名作「あやうし!ライオン仮面」を思いだしました。流石にアウトラインは考えていると思いますが)。

 シナリオ製作者の奈須きのこさんは、以前も「DDD」という小説を書いて、完全に途中(2巻)で投げたという前科を持っているので、かなり不安です。

created by Rinker
¥366 (2024/07/01 11:35:57時点 楽天市場調べ-詳細)

 まとめ

 未完の作品ではあるものの、ボリュームが多いので、フルプライスでも損をしたという印象は抱きませんし、ぐいぐい読ませるシナリオで、やっている間はとても楽しい時間を過ごせます。

 ただ、本当に半端な部分が多いのも事実なので、「そうだよな、締め切り設定しないと、やる気にならないもんなぁ……」と実人生を思い出して、妙な気分になります(笑)。

 まだ発売一か月なので、新品で購入しても中古売却価格も高いでしょうし、これからの年末、時間に余裕がある人は、ぜひプレイをお勧めします!

 それでは、また!

created by Rinker
¥6,591 (2024/07/01 11:35:39時点 楽天市場調べ-詳細)
ABOUT ME
榊原 豪
榊原 豪(さかきばら ごう)です。都内在住で、主にマンガ、映画、小説、アニメ等のエンターテイメントの情報を発信していきます。 楽しいこと、面白いことを探すのが好きですし、「何を『面白い』というのか?」という考察なども結構好きです。 よろしくお願いします。