こんにちは、榊原です。今日は書籍の紹介です。珪素さん著作の書籍「異修羅Ⅲ 絶息無声禍」についてご紹介します。
目次
あらすじ
ついに１６人の修羅が集まった。異なる世界からの来訪者、魔王討伐に置いて行かれた人外の格闘家、世界に語り掛けることで世界の理を変える魔導士。
尋常の者は一人もいない。火花を散らしてぶつかり合うその先は、何が待つのだろうか？
ストーリー
前巻で予想したとおり、今回の物語は、未だ姿を見せていなかった残りの試合参加者の紹介と第一回戦、第二回戦までが描かれています。
視点をカチカチ切り替えるのは、流石にこの巻まで行くと慣れてきますので、これはこれでいいような気がしてきました（笑）。
真面目な話、この視点を切り替えてそれぞれの試合参加者の視点を描くことで、それぞれが戦いに臨む背景がきっちり描けているので、いよいよ始まった上覧試合がとても楽しく読めるものとなっています。
特に、因縁ある登場人物はぶつけ合わないと伏線が回収できないので、一回戦はこいつがかつだろうと予想をつけていてもあっさり負けたりするので、先の展開が読めないです。
驚いたのが、試合シーンそのものは結構短く、速攻でケリがついたりします。この辺は好みが分かれるところだと思いますが、僕はダラダラ膠着しているのを見るのは好きではないので、結構好きです。
１６人でのトーナメント戦になりますので、このペースでぶつかり合うと６巻くらいで全ての決着はつきそうなものですが、どうなる事やら。
特に、今回ようやく姿を現した「魔王」は今後どう関連してくるのか、実在が危ぶまれている勇者とは何なのか、まだまだ物語の核になる部分が全く見えていませんので、楽しくなりそうです。
登場人物（お気に入りのみ）
サイアノプ：粘獣。「最初の一行」の一員。未来予知に近い洞察と格闘術を収める。
実力不足ということで、魔王討伐に置いて行かれた可哀想なスライムです。スライムでどうやって格闘するんじゃ！と思わなくもないですが、結構派手に技を繰り出します。
アニメ化した場合、動きの扱いに一番困るんじゃないでしょうか。再生の術を使う代償に、寿命を５年持って行かれるのも素敵です。命を削って戦闘に挑むキャラクターは数いれど、残りの寿命と削る年月を具体的に示すのは珍しいのではないでしょうか。
昔やったSRPGで、一発ごとに十年ほど寿命を削る技を仲間が覚えたので、７発ほど使ったら、マジでその仲間が死んで、それ以降登場しなくなるという展開に衝撃を覚えたのを思い出しました。
魔王という目的を失っての出場なので、これ以上物語を広げるのは難しいので、速攻消えそうな予感。
ツー：魔王がいたとされる「最後の地」にいた少女。尋常ではない防御力と身体能力を持つ
天真爛漫な言動は魅力的ではありますが、身体能力に秀でているだけなので、戦術に幅がなさそうなのが残念。
「たくさんの可能性があって、色がある。それなら、君が笑える未来だって、きっとあるはずだ」という恥ずかしすぎるセリフを臆面もなく言えるのは最高です。
狂戦士と記されているあたり、何やら隠されている秘密がありそうなので、しばらくは生き延びそうです。
シャルク：音すら超える速度の槍を操るスケルトン。己の正体を探している。
ソウジロウと互角の腕前を披露しつつも、普段はちょっと疲れたオジサンっぽさが素敵な骸骨です。彼自身の正体にも謎があるので、第一戦は超えられるか。
偶然出会ったツーとの会話で「美人と手を繋げただけで、男にとっては十分な釣りになる」と言える漢。言われたツーが「僕の手、柔らかかった？」と返せるのも、またよし！
最後に
出版社がそこまでプッシュしていないのか、ほとんどの本屋で巻数が揃っていない現状がもったいないほどの作品です。
戦う目的や因縁をきっちり書いた後で、躊躇いなくキャラクターを潰せるのは本当にすごいと思います。スピード感のある戦闘シーン、外連味たっぷりのセリフなど、楽しいところがたくさん見つかる良作ですので、ぜひぜひご覧ください。
それでは、また！
