こんにちは、榊原です。今日は本の紹介です。「異修羅 Ⅴ潜在異形種」についてご紹介します。I~Ⅳについては、別のページで紹介していますので、そちらをご参照ください。なお、今回の紹介はⅣまでの内容をネタバレしていますので、ご注意ください。
目次
あらすじ
六合上覧の一回戦も佳境に入った。第六試合「窮地の箱のメステルエクシル」対「奈落の巣網のゼルジルカ」、 第7試合「地平咆メレ」対「音斬りシャルク」、第8試合「千一匹目のジギタ・ゾギ」対「不言のウハク」 。
ある戦闘の最中、ソウジロウに敗北したオゾネズマは思い出す。勇者の正体と魔王との対決。その始まりから終わりまでを。
ストーリー
今回は、六合上覧の一回戦(第〇試合まで)の決着と試合の裏で進む陰謀の継続という感じです。大体3巻も4巻も同じ流れだったので、ちょっとテンポが悪いような気がしなくもないです。
この巻でようやく勇者と魔王についての顛末について言及されました。勇者が魔王を仕留めるロジックは、わからなくはないのですが、今一つ盛り上がらなかったような気がします。
『魔王を殺した勇者は、魔王以上の災厄になり得る』という話は中々面白いのですが、「真の勇者」があまり俗世に興味なさそうなので、これが今後どうメインストーリーに噛んでくるのか、ちょっと読めないです。
秘匿されていた謎は概ね開示されてしまった上に、物語の進行とあまり関係ない感じで処理されてしまったので、この物語がどこに行こうとしているのか、一気にわからなくなった感があります。
表紙のトーナメント表などについて
3巻くらいから六合上覧のトーナメント表と、勇者候補を擁立している官僚たちの表があるのですが、ちょっとみにくいですねー。特に官僚は29人ほどいるので、何が何やら。
もう少し、各陣営のチームを図で見せるとかやらないと、手を組んでいる連中とかいるので、把握がかなり厳しいです。この辺りは、もう少し工夫してもらえるとありがたいです。
今回の見どころについて
今回は何といってもメレ対シャルクが熱いです。この二人は闘いそのものを求めているところがあるので、純粋に力をぶつけ合う姿は、スポーツに似てます。
メレの弓の射程は、シャルクよりはるかに遠いため、勝負は距離を潰して接近戦に持ち込むシャルクとそれを狙撃で迎え撃つメレという構図になります。
この戦闘って、油断するとシャルクが走っているだけの情景になるのですが、曲芸の領域にある弓術を駆使するメレやそれを上回る回避するシャルクで盛り上がります。思えば、純粋に試合らしい試合って、第一試合のトロアとサイアノプ以来かもしれないです(笑)。
各陣営の裏工作がダルくなってきた今作において、抜きんでたシーンでした。
登場人物(お気に入りのみ)
シャルク:骸骨。超速の槍使い。自分が何者か思い出せず彷徨う。
どことなく疲れた感じを出すオジサン(?)ですが、スーを気遣えるところに優しさを感じます。
酒場での情報収集や観戦による敵情視察など、地道なやり方で勝利への糸口を探そうとするところもグッド。
異修羅という作品は、章のタイトルが人命である場合は、その人物の紹介と活躍である場合がほとんどです。ただ、「黒い音色のカヅキ」だけは、カヅキをシャルクがあっさりと殺して、改めて「音斬りシャルク」の章タイトルが表示されます。何故シャルクだけこんな優遇がされているかは謎です(笑)。
終わりに
六合上覧だけでも擁立者はキャラが立っていないから覚えにくいのに、裏で手を組んだりするなど、複雑になりすぎてて整理するのが難しいです。
この作品の魅力って、無敵と思われる能力を如何に崩すかが面白いので、陰謀とかは適当でいいので、もっとバトルの方をメインに据えて欲しいです。
次も買いますが、作品としてはちょっと失速気味かもしれないです。今回は、本当に見所がメレ対シャルクくらいでしたからねぇ。
それでは、また!