アニメ

ノベライズとして完璧 書籍「ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ」の紹介

 こんにちは、榊原です。今日は、本の紹介です。「ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ」をご紹介します。

目次

 ブラック・ラグーンとは?

 2001年から広江礼威さんが月刊サンデージェネックスで連載しているコミックです。タイの架空の都市ロアナプラを舞台にしたクライムアクションです。

 元会社員の新米水夫「ロック」の視点で船長の「ダッチ」、IT機器全般の扱いに長ける「ベニー」、女の二丁拳銃使い「レヴィ」と共に商う運送屋「ラグーン商会」で様々な人間や事件との出会いが描かれます。

 準主役のレヴィも音楽を聴きながら敵船に乗り込んで皆殺しにするなどぶっ飛んでいますが、サブキャラも対戦車ライフルを片手で持つ幼児だったり、修道服姿の武器調達人だったりと、とにかくキャラが濃いです。あと、喫煙率がマジで高いです。

 リアルさよりも勢いと派手さを重視したアクションと外連味たっぷりのセリフの応酬が魅力の作品です。今作はキャラクター・設定を使用したノベライズとなります。

created by Rinker
¥9,020 (2024/07/01 11:08:12時点 楽天市場調べ-詳細)

 虚淵玄さんについて

 「魔法少女まどか☆マギカ」を始めとする、ダークな世界観の作品の作り手です。まどか☆マギカでは脚本の担当ですが、今作でも文章を担当します。ライターとしての著作では、「Fate staynight」の前日単である「Fate zero」が有名です。

 疾走感溢れる戦闘描写や、細かい銃の描写が巧い方で、ブラックラグーンとの相性は抜群です。

created by Rinker
¥3,410 (2024/07/01 11:08:12時点 楽天市場調べ-詳細)

 あらすじ

 ラグーン商会は依頼として、海賊行為をするスタン率いる一団の運送と実行の補助を請け負う。しかし、依頼人の狙いがラグーン商会の面々と知己であり、ロアナプラを仕切る勢力の一つであるマフィアの頭目、「張維新(チャン ヴァイサン)」の暗殺であることを知り、色を失う。

 依頼人に騙されていたことから、契約を無効とし、張の援護に向かうラグーン商会。一段の一人、ジェイクに挑発された遺恨を晴らすため、嬉々としてレヴィは牙をむくが、スナイパーとして凄腕を発揮するスタンに阻まれる。

 幸い張は無事であったが、共謀を疑われたロックたちの立場は悪い。疑いを晴らすため、ロアナプラに潜伏したと思われるスタンたちを狩りだすために調査に乗り出すが……。

 ストーリー

 本編の主人公であるロックたちの出番もありますが、主に描かれるのは張を暗殺するためにロアナプラにやってきた暗殺者スタンと、ロアナプラで活動するマフィア「ホテルモスクワ」の幹部であり、スタンと旧知であるかつての上官「バラライカ」の物語が主軸となっています。

 そのため、レヴィたちの活躍は散発的なものであり、話の核心に迫るものではないのですが、ネットに自らの殺人ビデオを投降する「ジェイク」との一騎打ちなど、しっかりと見せ場は用意されています。

 ノベライズではありますが、本編のキャラクターの雰囲気はしっかりと出ており、ゲストキャラクターも世界観にしっかりと合っていると思います。

 アクションあり、ドラマありで見ごたえのある展開になっています。

 登場人物(ゲスト)

 スタン:張暗殺を請け負う。凄腕のスナイパー。ヘロイン中毒患者。

 戦争の中で精神を病んだスタンが、ただ戦う場所を求めて流れ着いたロアナプラで出会ったのは、信頼していたかつての上官だったという運命の皮肉がキツいです。

 かつての日々を持ち出し、誇りと名誉はどこへ行ったと糾弾するスタンに対する「お前が誇りを見失ったように、我々は誇りに見捨てられたのさ」というバラライカの返しは、本編含めて屈指の名台詞だと思います。

 ジェイク:張暗殺を請け負う。レヴィに興味を持ち、挑発を繰り返す。

 「アルティメイト・クール・J」を名乗り、拳銃に取り付けたカメラで行った殺人を自身のブログにアップして関連製品の広告をする、悪趣味にもほどがある男です。

 ブログに設置している掲示板の発言の数々が、やたらリアルで笑えます。掲示板の混沌を見たレヴィの「インターネットってやつは、脳にウジ湧いている奴らの溜まり場なのか?」という発言は、心当たりがあって苦笑いする人も多いのではないでしょうか(それに対するベニーの「それもまた真理ではある」という返しも最高!)。

 シャドー・ファルコン:張暗殺を請け負う。黒装束に意味を包む忍者。

 見た目が限りなく怪しい忍者なのに、凄腕というギャップが最高の忍者です。このキャラクターについては、スタンのような深みは全くないのですが、特濃の個性で魅力的に仕上がっています。

 最後に

 ブラックラグーンの世界観を損ねることなく、既存のキャラクターを掘り下げている良作だと思います。

 ブラックラグーンの刊行がオリンピックレベルの周期で読めなくなっているので、マンガやアニメは見たことがあるけれど、本作は未読という方は、是非読んでいただきたいです。

 虚淵さんのファンではあるけれど、ブラックラグーンを読んだことがないという方は、そのままではちょっと厳しいかもしれません。キャラクターの立ち位置を掴むために、漫画版1巻だけでも予習することをお勧めします。

 それでは、また!

ABOUT ME
榊原 豪
榊原 豪(さかきばら ごう)です。都内在住で、主にマンガ、映画、小説、アニメ等のエンターテイメントの情報を発信していきます。 楽しいこと、面白いことを探すのが好きですし、「何を『面白い』というのか?」という考察なども結構好きです。 よろしくお願いします。