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シナリオに難ありだけど、ソローネ編はぶっちぎりでいい  「オクトパストラベラーⅡ」について

こんにちは、榊原です。今日は、ゲームの感想です。スクウェア・エニックスから発売されている「オクトパストラベラーⅡ(以下、オクトラ2」のあれこれについて書いていきます

ネタばれはしないようにしますが、導入や話の流れについては触れるので、ご注意ください。これからプレイを検討している人や、オクトラ2について人の感想を観たいという人にご覧いただければ嬉しいです。

概要について

ドット絵を基調としたRPGです。スーファミ的なグラフィックと思わせながら、背景は3Dで現代的な美しさがあります。

戦闘システムはドラクエやFFを彷彿とさせるコマンド式で、「ブースト」「ブレイク」という本作独自の点にはチュートリアルがあるので、やり方がわからないという人はいないと思います。

難易度について

レベルが低くても、工夫次第で場所を知っていれば最強クラスの武具や超便利なアイテムが入手できるので、攻略サイトなどを活用するかどうかで劇的に変わります。

単純なレベルで敵を上回っていても、あっさりと殺されたりするので、勝ちパターンが確立できるまでの難易度は低くありません。ゴリ押しだと厳しいので、自力でクリアしないと気が済まないという人以外は、攻略サイトを見ていいような気もします。

ストーリーについて

進行に難あり

8人の主人公の群像劇で、「〇〇編 1章」というように、それぞれの物語を進めていくというのが基本的な流れになります。レベルを度外視すれば進め方は自由なので、一人の話を集中的にすることも、一章ずつキャラごとに進めることもできます。

これが曲者で、誰からでもやっていい半面、齟齬がないようにそれぞれのストーリーの進行状況がリンクしないものとなっています。また、「クロスストーリー」という複数主人公が絡む話以外は、それぞれの主人公が会話することはほぼなく、イベントシーンに他の主人公は一切登場しません。

ドラクエ4のように順番固定の群像劇にした方がいいんじゃないかなーと思いました。最終章で初めて8人揃って会話した時は、ちょっと感動があります。こういうの、もっと見せて欲しかった

シナリオの出来に差が……

主人公ごとにサスペンス、立身出世、復讐など、相当にシナリオの毛色が異なるのが特色です。

 ただ、どれかは刺さる……というほど満遍なくクオリティが高いわけではなく、テメノス、ソローネ、パルテティオ以外はほぼ感情的な起伏がないので、そこまで面白いと思う人はいないのではないでしょうか。

一番酷いと感じたのは……

 アグネアです(好きな人ゴメンナサイ)。アグネアはかつてのスターである母に憧れ、自分もスターになることを夢見て旅に出るのですが、ピンチや落ち込みが一切ありません。

 アグネアは自らの天才性を遺憾なく発揮し、周囲の人間から愛され、スターダムを登っていきます。現れた敵対者(現スター)すらアグネアをすぐにライバルと認め、好意的に接してくれるのでストレスフリーです。

 アグネアの話は5章もあるのにほぼ一本調子なので、非常に退屈です。最終戦は、ストーリー上はダンスバトルなのに、戦闘シーンは通常通りで、普通に刀剣で殺しあいます。笑うしかありませんでした。

マジでいいソローネ編

話にメリハリがあり、非常に感情移入できました。所属する盗賊集団「蛇」を抜けるため、幹部である義理の親を殺すという筋ですが、それぞれの章で敵対する両親との因縁がきっちり描けています。

 ソローネを幼少より鞭で痛めつけていた「マザー」と好意的で、優しく殺人の指導をする不気味な「ファーザー」との衝突は、所々で挟まれる回想シーンに加え、今を掴もうとするソローネに立ちはだかる姿勢で、『倒すべき敵』と認識させてくれます。

 特にファーザー戦は、声優である堀内さんの熱演とセリフ回しで本作随一と言っていい盛り上がりを見せてくれました。このソローネ編だけのために本作を購入しても損はないかと思います。

その他、キャラ別感想(思い入れ順)

テメノス

 石田彰さん演じる異端審問官が真実を暴くというサスペンス劇。殺人事件の黒幕やその背景など、作中で最も複雑で登場人物も多かったので話の整理に苦労しましたが、読ませる話でした。

「真実は炎の中に」「疑うのが仕事なもんで」というセリフや、人を喰ったような態度もいい感じです。

異端審問官って、僕のイメージだとベルセルクのモズグズ様なので、爽やかすぎて違和感が拭えません。

パルテティオ

「いいものは分け合う」という信念を持つパルテティオをみているだけで清々しかったので、ストーリー云々はどうでもよくなりました。

キャラクターだけでこれだけ魅力的になるのも珍しいような気がします。第一章で、困窮を打開するための結論が『殴り込み』である点については突っ込まざるを得ません。それでいいなら、もっと早くやれよ。

オズバルド

妻子を殺される+妻子殺しの罪で投獄という最も重い設定を背負わされているはずなのに、オズバルド自身が淡々としているので、そんなに盛り上がらなかったような。

宿敵ハーヴェイを演じるのが安定の気狂い子安さんでニッコリ。 

ヒカリ

国を追われた王子の貴種流離譚という王道ストーリーですが、ヒカリというキャラクターが「いい子」過ぎるのがちょっと難点だったように思います。

反乱を起こしたお兄様「ムゲン」が脳筋過ぎで笑えます。計画性なさすぎ!

キャスティ

ヒカリ同様、「一人でも多く救いの手を」という信念が立派すぎて、感情移入できませんでした。

ラスボスのムカつき具合は作中でも指折りなので、その点についてはグッド。

オーシュット

伝説のポケモン…ではなく、魔物の捕獲という超シンプルストーリー。印象に残っていないのは、オーシュット編の攻略時はレベル60を上回っていたので、ボス戦で1ターンキルを連発してたせいだと思います。

終わりに

プレイ時間はやや長いものの、良質なRPGです。イベントシーンは倍速にもできるので、お気に入りのキャラ以外は、飛ばしながらプレイするのがちょうどいいような。

次作が出るのであれば「オクトパス」じゃなくていいので、シナリオを練ってほしいです。ソローネ編クラスの質で固められれば、間違いなく傑作になると思います。

それでは、また!

ABOUT ME
榊原 豪
榊原 豪(さかきばら ごう)です。都内在住で、主にマンガ、映画、小説、アニメ等のエンターテイメントの情報を発信していきます。 楽しいこと、面白いことを探すのが好きですし、「何を『面白い』というのか?」という考察なども結構好きです。 よろしくお願いします。