こんにちは、榊原です。今日は、2年ぶりに新刊が発売された成田良悟さん著作のライトノベル「Fate/starange fake7巻」の感想を書きます。
基本的に7巻のネタバレはしませんが、6巻までの話の流れについては言及せざるを得ないので、ちょいちょいネタバレしていきます。全く話の内容を知らずに読んでみたい、と言う方はご注意ください。
なお、シリーズ自体の紹介はこちらに書きましたので、読んでいただけると嬉しいです。
目次
概要
ムードメーカーだったフラット・エスカルドスの死亡と、彼の死を起点として、何かおぞましいものが始まったところで前巻は終わっていました。
7巻は、新たに登場したキャラクター「ティア」の紹介と、各陣営の対応、そして動き出す事態が描かれています。
物語の一部で、最後の晩餐めいた描写がありますが、この巻は全体がそんな感じです。各陣営の関係性は大きく変わることもなく、起こっている事態の割には、結構ゆっくりと進行していきます。
ストーリーについて
これまでの巻が、各陣営のぶつかり合いや共闘、英霊の正体の開示と目まぐるしく展開していたのに対し、今回は結構スローテンポです。
たしかにティアの登場や、事態を鎮静化すべくアメリカの上層部が下した決断によるタイムリミットの設定など、事態は急転しているのですが、肝心の登場人物たちが慌てふためくこともなく淡々としているため、あまり切迫感を感じません。
また、収集のつかない事件に対する力技って、バイオハザード3(ミサイルでラクーンシティー浄化)を彷彿とさせてイマイチという感じです。この辺り、もう少し何とかならなかったのかなぁと思わなくもないです。
視点の多さについて
7巻の最大の問題点です。現在の陣営は、本来のサーヴァントと偽のサーヴァント、そしてティアなども含めると軽く10を超えます。
この陣営それぞれからの視点をちょくちょく入れるため、感情移入する間がありません。文量自体は以前と変わっていないのに、ちょっと満足感が低めです。
以前の巻では、一切登場しない陣営があることで、中心とする視点の物語が長めに描かれていたのですが、今回は全陣営に関係する事件が起きた関係で、どうしても全ての陣営に言及しなければならなかった感じです。
それぞれの陣営で考えが整理され、いよいよクライマックスが始まろうとする予感で締めくくられますが、ここでまた数年待たされるのは、ちょっときついので、早めに続きの刊行をお願いしたいところです。
キャラクターについて
新キャラクターであるティアが、退場したフラットの代替としてはちょっと弱すぎるように思います。次巻でティア関連のエピソードには決着がつきそうな雰囲気ですが、この展開が必要だったかについてはちょっと疑問です。
未だ謎があるアヤカや決意と共に動き出したシグマ等、従来からの登場人物については、それぞれの心情の吐露や考えの整理などで、掘り下げられていたと思います。
特に大きいのは、アヤカがセイバーの闇に近づこうとする描写があることと、セイバーに少女の幻影について告白したことではないでしょうか。
時折闇を覗かせながらも、基本は陽気なセイバーと、後ろ向きな発言が多くも、葛藤を乗り越えて自分の運命に向き合おうとするアヤカのコンビは、とても見ていて気持ちがいいので、いい結末が用意されているといいのですが……。
戦闘描写について
初戦のギルガメッシュとエルキドゥ同様、スケールが大きすぎてわけがわからなくなっている戦闘が多いように思います。
好みの問題かもしれませんが、「性能の競い合い」よりも真アーチャーに一矢報いたような策と博打による戦闘が魅力的な作品なので、もう少し論理的に進めてもらいたいところではあるのですが、この辺は好みの問題かもしれません。
終わりに
結構楽しみにしていた新刊だけに、あまり話が進まなかったのは正直残念というところもありますが、各キャラクターの魅力が掘り下げられているので、時間に期待が持てます。
少なくとも次巻で終わるには、伏線が多すぎるので、完結まで気長に待ちたいと思います。
それでは、また!