キャリア官僚志望者の必読書「ブラック霞が関」の紹介

 こんにちは、榊原です。年度初めで残業が続く方が多いと思いますが、皆さんはどのくらいの時間で健康に支障が出るでしょうか。僕は60時間くらいです。その月は仕事しかしていない気分になります。

 今回は千正康裕さん著作の「ブラック霞が関」についてご紹介します。

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 現在では疾病の直近1カ月前が100時間超え、2か月~6か月の平均が80時間越えが労災認定の過労死ラインであり、職種によっては医師による面談が義務付けられています。

「ブラック霞が関」では、かつてはクジゴジ(9時に業務開始で午後5時に帰宅する)等と揶揄されていた公務員の実態について記されていて、こんな方にお勧めです。

  • 国家公務員志望者の方
  • 継続した超過勤務に疲れている方
  • 就活生

目次

 概要

 この本は、概ね3部構成になっています。

現状

 元厚生労働省のキャリア官僚だった千正さんが、若手時代からの勤務実態をはじめ、官僚の勤務実態を説明します。

 この内容が結構酷く、ざっくり言うと以前は午前9時半~24時30分なのに対して、現在は午前7時~27時20分という仕様です。

内容を比較して、今の若手は大変で~という趣旨で書かれていますが、ちょっと待ってくださいと。以前も終電ですよね、と突っ込みたいです。

 忙しい部署という留保付きではありますが、これを週5日やれば過労死まっしぐらです。

 残業代の総枠は予め予算で定められているため、ほとんどはサービス残業です。今は過労死について注目が集まっている一方、職員は働かせたいため、以前よりサービス残業が供用されている可能性が高いです。

 ブラック霞が関では「石を投げれば長期求職者に当たる」「残業代は最低賃金を下回る」などのパワーワードが炸裂し、勤務時間の濃密かつ大量の業務をどのようにこなしているかが、千正さんの経験も交えて克明に描かれているため、胃が痛くなれます。

官僚の必要性と政策の決定方法

 政策がどのように決定されているか、官僚の意義を説明するとともに、働き方改革の困難さについて説明しています。

 この辺は行政の職務に興味がある方は結構面白いと思います。千正さんが、いかに公務員として職責を果たし、国を良くしていこうと思っていた方なのかが伝わります。

 ただ、公務員の業務についてさほど関心がなく、いかに霞が関がブラックであるかを知りたくて本を読んでいる方にはちょっと退屈かもしれません。

提言

 官僚や国会を国民のために働かせる方法について、非効率な業務方法の改善について提言しています。

 例えばペーパーレス化推進による大量コピー業務の削減、作業の委託化、公務と関係のない発注の禁止(議員の講演会における原稿作成)などです。

内容としては非常に真っ当なことが書かれているので、「ふむふむ」と頷けるものが多いですが、それができれば苦労はないと思わないでもないです。

一種でもこれか……

 いわゆるキャリア官僚とは、国家公務員I種試験等を突破した人をさします。この試験の倍率、昨年の法律職は約15倍(5%程度)で凄まじく難しい試験です。合格者は東大、京大も珍しくなく、千正さんは慶応を卒業しています。

 一流大学を卒業し、難関試験を突破したエリートと呼ばれる人たちが業務拡大と人員削減に苦しめられている様子を克明に描写されています。

 現在は試験期間中ですが、一種試験を受験される方は一度この本を読んで実態を学んだ方がいいと思います。

 まともな労働条件がないのは一部の部署だけでしょう、という見方もできますし、千正さんも「忙しい部署」と言及はされていますが、言葉を変えれば配属される可能性はあるということです。

 また、人間関係の問題についてさして言及がありませんでしたが、長時間のサービス残業が常態化している職場は往々にして人間関係が良くないです。育児をしている家庭で長時間勤務をするということは、子どもの面倒をほぼ全て任せるということになりますので、家庭内の空気が悪くなることも考えられます。

 職場の内外の人間関係で問題を抱えると、業務以下外のところでもストレスを抱えることになり日常が地獄になります。見たくない話だとは思いますが、だからこそ本書をきっかけに考えておくことは非常に有益だと思います。

終わりに

 キャリア官僚を志望される方に必読の一冊となっています。難関試験を突破してから「こんなはずじゃなかった」と後悔するのはあまりにも悲しすぎます

 例えどんな思いをしたとしてもやってやる!という強い意識があれば、多少なりとも後悔は少ないはずです。

 それでは、また!

ABOUT ME
榊原 豪
榊原 豪(さかきばら ごう)です。都内在住で、主にマンガ、映画、小説、アニメ等のエンターテイメントの情報を発信していきます。 楽しいこと、面白いことを探すのが好きですし、「何を『面白い』というのか?」という考察なども結構好きです。 よろしくお願いします。