こんにちは、榊原です。今日は、本の紹介です。シド・フィールド著作の「映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術」についてご紹介します。
物語創りのための優れた教材です
映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと
物語を創りたい人に
やや脚本に特化
構造で解説
わかりやすさ
面白さ
役立ち度
おすすめ度
目次
脚本家でベストセラー作家の方です。「ゴッドファーザー」や「アメリカン・グラフィティ」等の超有名映画に関係し、ジェームズ・キャメロンも師事したとのことです。本書は22か国語に翻訳され、脚本の学校の教材として使用されています。
本書は、主として映画脚本家を養成するためのテキストとなっていますが、主題の作り方、登場人物の作り方、設定の構築の仕方など、物語を創る上で不可欠な要素について、抽象的な導入から始め、具体的に作品名や状況を語りながらじっくりと解説しています。
そのため、本書は物語を想像したいと考えている小説家志望者、マンガ家志望者なども参考になると思っています。この辺りは、以前ご紹介した「感情から書く脚本術」と同様のコンセプトです。よければこちらもお読みいただけると嬉しいです。
感情から書く脚本術が、どういう状況がどのような感情を想起させるのかというノウハウでしたが、本書は、プロットの作り方、シークエンス(発端・中盤・結末)など、状況設定よりも更に大きな枠組みから物語というものを捉えています。
そのため、物語作りに詰まっている人、一から物語作りを学びたい人にとってはより普遍的な学びの本となっています。アクションの構成や、導入がどういう意味を持つかについて、有名映画の1シーンの脚本を見ていくことで、イメージがしやすいものになっています。
後半では、脚本を製作するための方法、執筆スケジュールから壁にぶち当たった時の対処、脚色の仕方などについて記述されています。
この辺りは、脚本の教材らしく、やや脚本に特化している部分もありますが、全体としてはやはり物語を創る際のヒントが平易な文章で書いてあり、プロットづくり、エピソードづくりの参考になると思います。
やや抽象的な部分があります。例えば、会話の意義として「ストーリーを前に転がす」「人物についての情報を明らかにしていく」等の記述がありますが、自分の作品に落とし込んでいくには、当然ながら自分で考える必要があります。
感情から書く脚本術で取り上げられていた場面については、自分の作品にそのまま生かせる部分があったため、そういった記述をしてくれるものと考えると、肩透かしを食らうかもしれません。
全体として、自分で考えるためのヒントの提示という立場であることを感じました。
物語作成の指南書として、具体的な示唆に富んだ優れた一冊だと思います。この本を読めばすぐ何かを作れるといったものではありませんが、創作を構造的に捉えるために有用です。
感情から書く脚本術とどちらか一冊、と言うよりも補完的な内容となっているため、併せて読むべき書籍だと思います。
それでは、また!