こんにちは、榊原です。今日は本の紹介です。村上靖彦さん著作の「客観性の落とし穴」について紹介します。
本の概要について
「エビデンス」「数値」といういわゆる客観性への侵攻に対するアンチテーゼです。客観性が悪い、というわけではなく、それだけが全てではない、という一つの視点を読者に与えるものになっています。
タイトルにも書きましたが、「それってあなたの感想ですよね」という言葉は西村博之さんの言葉として知られていて、2022年の小学生流行語大賞になっているそうです。余談にはなりますが、こういう言葉を頻繁に使うクソガキ……いや、未来ある若人を導く先生方には本当に頭が下がります。
この客観的、数字という言葉を絶対的に信仰することにより、この本では経済的に役立つこと、優勢思想へつながるのではないかと危惧しています。
経験を語ることにより得られるもの
ある過酷な幼年~青春時代を過ごした人のインタビューを引用することで、その人の心の動き、何を語ろうとしているかを分析しています。
悲しみ、喜び、痛みなど、彼らの経験と、それを通して感じてきたものを語ることは、決して「その人の個人的な感想にすぎない」と切って捨ててはいけないのだと教えてくれます。
ビジネス書や動画配信などで「何が役に立つか」「どう役に立つか」ということが称賛されるので、こういう本はとても大切だと思います。
この辺りは、レジーさん著作の「ファスト教養」でも言及されていました。シェイクスピアを読むとビジネスの会話時にプラスに働くという主張に対し、シェイクスピアを読むのは、ビジネスのためなの?という視点だったように思います。
終わりに
客観性やデータは視点の一つであるが、絶対視すべきではないという事柄について、丁寧に説明した一冊です。
平易な文章で短く書いてあり、非常に読みやすいです。何が役に立つかというビジネス本もいいですが、こういう本を血肉にできた方が、毎日は楽しくなるように思います。
それでは、また!