こんにちは、榊原です。今日は本の紹介です。大森藤ノさん著作のライトノベル「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(通称ダンまち)」について紹介します。
好きなテキスト
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
ゲーム的要素の有るファンタジー小説
魅力的なキャラクター
燃える決闘演出のつるべ打ち
ストーリー
キャラクター
設定
おすすめ度
目次
2013年に第一巻が出版され、現在では17巻まで続いている人気ライトノベルシリーズです。スピンオフ作品「ソードアルトリア」も12巻まで刊行され、アニメは第三期、映画版も制作されています。
地上に降りて来た神々と眷属の契約を結び、偉業を成し遂げることでランクアップ、RPGでいうところのレベルをアップを果たせるという設定になっています。
ファンタジー小説らしく、剣と魔法あり、異種族在り、魔物有りのありありルールです。神様もゼウスを始めとするギリシア神話から、タケミカヅチなどの日本神話まで多種多様の神様が現れます。
ヘスティア・ファミリアで唯一の団員である駆け出しの冒険者ベル・クラネルは、単独でダンジョンに臨み、我流でモンスターと戦っていた。いつものように上層で戦っていたベルは、不運なことに中層級の強さをもつミノタウロスに襲われる。
なすすべもなく追い詰められたベルは、間一髪のところでロキ・ファミリアの女性冒険者アイズ・ヴァレンシュタインに助けられたが、礼も言わずにその場から逃げ去ってしまう。あまりの衝撃的な出会いにより、アイズに一目惚れしてしまったベルは、彼女に釣り合うような立派な冒険者となろうと心に誓い、規格外の急成長を遂げてゆく。
英雄になりたいと願う少年が、憧れの女性に追いつくためにガムシャラに努力して、仲間と共に成長していく、真っすぐな英雄譚です。
誰も最深部まで到達したことがない広大なダンジョンに挑むファンタジーということで、トルネコの大冒険を思い出した人は、多分僕と同年代です(笑)。
魔物が湧き出るダンジョンの攻略が主軸ですが、神と契約した人間たちは、ファミリアというコミュニティを形成するため、ファミリアの中での友情、他のファミリアとの抗争も、ドラマが生まれる要素となっています。
生き残るために相手の命を奪う、モンスターとの死闘、単純なレベルでは負けていても、技と駆け引きで勝利を掴む対人戦など、様々な戦いの要素で楽しませてくれます。
キャラクターが、自分のアビリティ(能力)を力、耐久などの分類別にA~Hで確認できること、アビリティとランク(レベル)は別物と言うのが本作の特色になっています。
ドラクエのようなRPGでは、レベルは雑魚モンスターを狩っていても、最終的には上がりますが、本作においては、神々から「偉業」と認められることを達成しなければランクアップはできません。そのために、常に困難に挑むことを強いられる、というのは斬新な設定だと思います。
ドラクエなどだと最終戦間近はレベル40程度は平気であったと思いますが、本作だとレベル3でひとかどの冒険者であり、レベル6でほぼ敵なし、レベル7で都市の頂点と言われるほどランクアップは困難です。
また、ランク間の差は結構シビアで、1違うだけでも打倒は相当に困難であり、2違えば瞬殺レベルです。これをどうにか技と駆け引きで乗り越える、という戦術要素も面白いところだと思います。
主人公のベルは、情けない点はあるものの、真っすぐに強くなりたいと努力し、愚直に前進を続ける気持ちの良いキャラクターです。
兄貴分である鍛冶屋のヴェルフ、サポーターであるリリ、憧れの少女アイズなど、様々な魅力的なキャラクターが登場します。
派閥、それを構成する神と眷属の数は相当数に上りますが、じっくりとそれぞれの個性についてエピソードを作っているため、誰が誰だかわからないということはありません。
また、主神アポロンに命じられてベルを捕獲しようとするヒュアキントスや歓楽街で偶然出会ったベルをモノにしようとするアイシャなど、絶対に勝たなければならない敵、乗り越えなければならない壁を設定するのが非常に巧いです。
特にヒュアキントス戦は、言動が一々腹立たしいキャラの上に、レベルの違いから散々叩きのめされていた後の再戦のため、一騎打ちのテンションが爆上がりでした。
最初は一人でダンジョンに潜っていたベルは、自身の能力を上げつつ、リリやヴェルフ等とパーティーを組み、戦術の幅を増やします。
その後も、自身や仲間のレベルが上がった後に到達階層を更新したり、派閥を超えてチームを組んだりするなど、あの手この手でダンジョンの攻略階層を深くしていく過程が面白いです。
階層が深くなると同時に敵が強くなるというお約束を踏襲し、迷宮を歩くという緊張感、一歩間違えれば死に直結するというハラハラ感が上手く出ています。
ベルの憧れの少女アイズを主役としたスピンオフ作品だと50階くらいまで到達していますが、まだまだ最深部は先のようです。迷宮内に川や滝があるなどの幻想的な光景や、一定階層ごとに「階層主」と言われるボスキャラが登場するなど、ゲーム的な要素が魅力的です。
18巻と今から読み始めるには既刊数が多いように思うかもしれませんが、中だるみする巻はほとんど無く、続きが速く読みたいと思わせる良質な物語です。
刊行ペースはちょっと落ちているようで、一年~一年半に一本くらいなので、今から読み始めると最新作がちょうど読めるかと思いますので、お読みいただければ嬉しいです。
それでは、また!