こんにちは、榊原です。野口聡一さん著作の「どう生きるか つらかったときの話をしよう 自分らしく生きていくために必要な22のこと」についてご紹介します。
概要
宇宙飛行士として2回のフライト経験を持つ野口さんが、帰還後に燃え尽き症候群の状態になって約10年苦しみ、そこから脱却した経験をもとに、人生の歩き方を書いた本となります。
200ページありますが、文章はセンテンスを短くしているので読みやすく、行間も空いています。読了に苦しむことはないでしょう。
読了のハードルが低い本ではありますが、書いてあることを自分で考え、実践していくことが重要になるため、何も考えないとあっさり終わって何も残らないので注意が必要でしょう。
本作が警告していること
「他者からの価値観や評価、関係性に基づくアイデンティティ」に寄って立つことに警鐘を鳴らしています。
所属している組織からの評価、親や家族、友人をはじめとする他人との関係性、容姿・資産・婚姻状況による評価など、社会に生きる以上、そういった評価を受けることは避けられません。
しかし、そういった評価に依存すれば、状況が変化した時に苦しむことになると伝えています。余談ではありますが、他者に依存した評価から弾き出されるとき、「無重力の空間に放り出されたような」という比喩表現を、実際に無重力を体験した野口さんが使うのが面白いです。
大いなる正午を迎える
僕は本作を読んで、ニーチェの「大いなる正午」を思い出しました。
大いなる正午とは、善も悪も、太陽が昇ることにより消失した状態で、その中でも、自らの意思で進める者が、超人となる……という概念(だったはず)です。
他者を基軸にした価値ではなく、自分が何を大事にしているのか内省し、自分が尊いと信じる価値を見出すことの重要性を本作では訴えているので、「超人(今この時の生を肯定して生きる者)」にも通じるような。
終わりに
ちょっと前にブームになったFIRE(資産を蓄え、早期退職して日々を過ごす)も、達成した後は、退屈で日々が苦痛になるという人がいるそうです。これも自分の評価基軸や方針を定めることなく社会から離れた結果なのでしょう。
当たり前に思っていたことを考え直すきっかけになる一冊ですし、端的に書かれているので読みやすいです。偶然手にして買った本でしたが、当たりでした。
それでは、また!