映画

 2時間半の拷問をあなたに 映画「マトリックスレザレクションズ」の紹介

 こんにちは、榊原です。今日は、映画の紹介です。12月17日より公開の映画「マトリックスレザレクションズ」についてご紹介します。

 タイトルのとおり、この映画はかなりの駄作に仕上がっています。過去作を鑑賞していないと内容が分かりませんし、鑑賞していると憤りを覚えるという酷い仕様です。

 これからいろいろ書いていきますが、結構ガッツリネタバレしていきますので、知識なしの状態で鑑賞したいという方はご注意ください。

目次

 マトリックスとは?

 1999年に公開されたアクションSF映画です。独創的な映像、カンフーアクション、体中に身に着けた銃を撃っては捨てていくスタイルなどの演出は、後の映画に多大な影響を与えました。

 マトリックスがヒットしたため、2であるマトリックス・リローテッド、3のマトリックス・レボリューションズへと続編が制作されましたが、大体の人は1が一番面白かったというのではないでしょうか。

 実際、スローモーションで回転する弾道演出や静止した状態で360度カメラを回す演出等は全て1からのものです。2,3も高速道路逆走しながらのカーアクションなど迫力あるポイントはあるのですが、1にはかなわない印象です。 

 僕も高校生の頃にこの作品を見て、しばらくは超有名な上体をのけぞって弾を躱すアクションを友達とやり合って楽しんだ覚えがあります。2,3についてはそんなに好きではありませんが、それでも2回ずつくらいは見ているので、大まかなストーリーは頭に入れている状態で本作を鑑賞してきました。

【あらすじ】

 トーマス・アンダーソンはゲーム「マトリックス」で有名なゲームデザイナーだが、繰り返される日常に違和感があった。

 フラッシュバックする記憶、トリニティに瓜二つの女性「ティファニー」にトーマスは動揺し、医師から処方される青い薬を飲み続ける。

 そんなトーマスの前に現れる「モーフィアス」と名乗る男と「バックス」と名乗る女性。

 モーフィアスとは、ゲーム「マトリックス」において、主人公「ネオ」を現実の世界へと導く存在だ。あれは、現実にあったことなのか、それともこれは自分の妄想なのか。

 モーフィアスとバックスから明かされる世界の真実。機械の束縛から解き放たれたトーマスは、ネオとして覚醒し、同様に囚われているトリニティを救うべく行動を開始するが……

【三幕構成】

 第一幕 繰り返される日常

 第一ターニングポイント→バックスに明かされる真実

 第二幕 トリニティー救出戦

 第二ターニングポイント→アナリストとの対話

 第三幕 総力戦

【感想】

 ストーリーについて

 率直に、20年以上が経ってから続編を描くことの意義がないように思いました。今作は、マトリックスに再び取り込まれたネオが解放され、トリニティを救出し、救世主となった2人が機械に宣戦布告するまでの物語です。

 その間の要素として、レボリューションズから60年の時が経過し、老婆となっている「ナイオビ」との再会や新しい拠点である「アイオ」などが描かれますが、基本的に構造は非常にシンプルです。

 それにもかかわらず、2時間半という長尺なのは、物語や描写を整理しようとする気が作り手に無いとしか思えません。

 特にネオの空虚な日常を描きすぎだと思いました。風呂に入ったり、ゲームの開発スタッフと(同じ内容の)打ち合わせをしたりするシーンが長すぎて、ネオが機械から解き放たれるまでに一時間以上使用しています。

 また、トリニティーについても「彼女がマトリックスを選択したらどうするのか」という葛藤シーンが入るためにテンポが悪いです。

 トリニティーはティファニーではなく、トリニティーであることを選んで、家に帰ろうと腕を掴んでいる夫をボコります(ここまできたら二人の子どももボコればよかったと思いますが)。

 アクションについて

 過去作においては目玉の一つでしたが、今作においては弱いです。20年前の演出とさほど変わっていないように感じました。

 既にこの20年の間にアベンジャーズシリーズを始めとする作品によって、僕たちの目はCGを多用した演出効果に慣らされ過ぎています。本作は、現在の視点見ても驚けるシーンはなかったように思います。

 また、流石にキアヌ・リーヴスも20年前と同じ動きはできないと判断されたのか、後半戦は肉体で戦うことなく、1の終盤辺りで覚醒したサイキックパワーで対処するのも迫力に欠けて微妙でした。

 弾丸は止められるのに、空は飛べないとか、ちょっと理屈がわからなかったです。止めた弾丸を敵に叩き返すことができるのであれば、この戦いは速攻で終わったように思うのですが。

 キャラクターについて

 マトリックスのキャラクターは、過去作含めて全体的に薄いので今更文句を言うつもりはありませんが、モーフィアスとスミスの変わりっぷりは慣れませんでした。

 モーフィアスについては、そもそも1の人とは完全に別人なので、変わったも何もないのですが、じゃあ、モーフィアスにするなよというね。

 エージェント・スミスについては、役割としては機能していた気もしますが、ビジュアルが変わりすぎて違和感が凄かったですねぇ……。「ミスター・アンダーソーン!」と叫んでスミスと分からせる演出はちょっと好きです。

 最後に

 長い時間が経過してからの新作はハズレの傾向が強いと思っていましたが、残念ながらその系譜にまた一つ加わってしまいました(「コードギアス 復活のルルーシュ」「ブレードランナー2049」)。

 「マッドマックス 怒りのデスロード」みたいに続編のアタリもありましたが、本作はそうならなかったようです。

 マトリックスは完全にレボリューションズで終わっている作品なので、本作への期待値はかなり低かったのですが、それすら下回る完成度です。

 レビューを見てみると、好意的な意見の方もいるようなので、人それぞれというところかもしれませんが、続編としても、単品の映画としても出来がいいとは思えない作品でしたので、鑑賞の際はご注意ください。

 そういえば、インタビュー記事で、脚本家が「続編ではなく、独立した映画」と言っているようですが、大嘘です。本作は、過去作の鑑賞は必須であり、過去作の登場人物や設定などの説明はほぼ行われません。また、過去作の物語の上に成り立った構造になっています。

 作中で上司から言われる、「続編を作らないと、親会社のワーナーブラザーズに契約を切ると言われた」のはジョークに聞こえませんでした……。

 それでは、また!

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ABOUT ME
榊原 豪
榊原 豪(さかきばら ごう)です。都内在住で、主にマンガ、映画、小説、アニメ等のエンターテイメントの情報を発信していきます。 楽しいこと、面白いことを探すのが好きですし、「何を『面白い』というのか?」という考察なども結構好きです。 よろしくお願いします。