こんにちは。榊原です。今日は本の紹介です。森博嗣さん著作、「夢の叶え方を知っていますか」をご紹介します。この記事を読むと、夢の実現に悩んでいる人やこれといった夢がなく、迷っている人が、日々を楽しむ方法を探すヒントになります。
目次
概要
森さんが、「夢」について思うこと、読者から寄せられたアンケート結果を参考に、分析・意見するというエッセイです。
森さんは、元々は大学教授をしていた人なのですが、趣味の工作をするために資金が必要と言うことで、アルバイト感覚で小説を書いたら、それが大当たりという異色の経歴の方です。
夢とは、何か
夢って、非常に多義的な言葉で、人によって大きく違うものだと思います。この本では、大きく抽象的な夢、具体的な夢と分類し、それぞれの傾向やアンケート結果に基づく分析を行っています。
特色としては、「他人を巻き込む夢」、「購入する夢(与えられる夢)についての批判的な見方、掲げた夢(目標)に対する具体的な行動の推奨です。
本作では、森さんが、かなり徹底した個人主義ということもあり、夢というものを、「自分で計画し、自分で生み出し、自分で楽しむもの」として考えています。
仮に家族関係の夢を持っていたところで、パートナーや子どもが付き合ってくれるとは限らないし、何かを購入する夢は、その先に飽きがある。自由に、自分だけの目標を掲げ、それに日々近づいていくのが、夢というものの醍醐味だということです。
また、職業的な夢だとどうしても他人との競争、向き不向き、運など自分の努力以外の要素が強く影響するため、趣味的な夢を本作では勧めています。
趣味的な夢について
これは、結構人によって救いがあると思います。夢を聞かれれば、若い人であれば職業的なものを想像し、年齢を重ねた人であれば、人生の一場面(結婚・子育て等)を切り取った人が多いのではないでしょうか。
でも、趣味に関する目標設定であれば、いつからでも、どんな状況からでも、夢を見ることができます。そもそも、その内容を考えることから夢の第一歩は始まっています。更に、計画の変更や撤回も自由です。誰に引け目を感じることはありません。
日々夢に近づくということ
これについては、本作ではやや厳しい目線を感じます。掲げた目標をどうすれば達成できるのか、日々そのために何をしているのかを考え、随時進捗状況を確認し、必要であれば軌道修正、状況により目標設定を見直すべきだということです。
「お金がない」「時間がない」ということを理由に、夢に近づくための行動ができず、日々の生活に埋没している人が多いと思いますが、この本ではそれを徹底して批判しています。
だったら、そこで停止しないで、お金がないならどうすればいいのか、時間がないのであればどう捻出すればいいのかを考えなければならないということですね。
非常に正論かつ耳が痛い。森さん自身、庭に線路を敷きたいという想いで、本業の傍ら小説を執筆していますからね(何故小説なのかという思考の飛び具合が凄いとは思いますが)。
僕も長編小説を書いたことがあるので、少し想像つきますけど、数百ページの物語を、一日数ページ書いて破綻なく終わらせるって相当にしんどい作業だと思います。本当にやりたいことであれば、やれるはずだということでしょう。
夢がない人に対して
夢がなくて、何をすればいいのかわからないという人に対しては、「それを探すのがあなたの人生で、楽しいと思うこと、興味を持ったことやればいいのではないか」という暖かな視線を向けているのがとてもいいです。
「とりあえず日本語は書けるだろうから、小説でも1日の執筆目標を立てて書いてみたらどうか」という提案は、まっとうな提案ではあるものの、何故かちょっと笑ってしまいました。
実際、20代くらいまではまだ職業選択の余地がありますから、「夢」という言葉を平気で使いますが、30・40代くらいになるとなかなか難しいですよね。
でも、日々を生きる上で、今日が昨日と違う、一歩何かに進んでいるという実感は、嫌なことを乗り越える大きな力になりますし、それが日々を充実させる糧になると思います。むしろ、30代以上こそ、自分の夢というものを胸に秘めて生きるべきではないでしょうか。
まとめ
日常が退屈で何かを始めたい人、未来に実現したい何かがある人が読むと、頭が整理されてすっきりする本です。平易な文体で短めに書かれているので、普段読書の習慣がない人でもさらりと読めると思います。
森さん自身の経験としては、「小説書いて持ち込んだら、大学教授やってるよりも金がガンガン入ってきたので、退職して趣味に注力できて楽しい」のようなことを書かれています。
結果だけ見るとだいぶ上手く行っているので、この辺は人によって思うところがあるかもしれません。
森さんは、本作とは別に「やりがいのある仕事という幻想」という、これまた身も蓋もないタイトルの本を書いているので、著者の感覚があった人はこちらも面白いと思いますので、読んでみてください。
それでは、また!